判旨
食糧管理法による米穀の携行制限は、公共の福祉のために必要な制限であって、職業選択の自由(憲法22条1項)に違反しない。
問題の所在(論点)
食糧管理法および同施行規則による米穀の携行制限・流通規制が、憲法22条1項の保障する職業選択の自由(およびこれに含まれる営業の自由)を侵害し、違憲とならないか。
規範
職業選択の自由(憲法22条1項)は、公共の福祉のために必要な制限を受けるものであり、食糧の需給調整という重要な公共の利益を目的とする法令による規制は、その必要性と合理性が認められる限り合憲である。
重要事実
被告人が、食糧管理法施行規則第47条1項3号に定める「旅行者」に該当しないにもかかわらず、本件精米を携行した行為について、同法違反として起訴された。被告人側は、同法および施行規則による携行制限が憲法22条の保障する自由を侵害し、違憲・無効であると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、過去の判例(昭和25年11月22日大法廷判決等)を引用し、食糧管理法の諸規定が憲法22条に違反しないとの判断を維持した。本件において、被告人は「旅行者」としての携行を許容される例外的な状況にないことは明白であり、同法が定める一般的な流通規制の枠内に属する。食糧の適正な配分を目指す規制目的は公共の福祉に合致し、その手段としての携行制限も憲法の許容する範囲内にあると解される。
結論
食糧管理法および同施行規則の規定は憲法22条に違反せず、被告人を同法違反として処罰した原判決は正当である。
実務上の射程
経済的自由の規制に関する初期の判例であり、公共の福祉による制限を肯定する枠組みを示す。後に展開される「小売市場判決」等の目的二分論への先駆的な位置付けにあるが、答案上は公共の福祉による制限の具体例として言及するに留めるのが実用的である。
事件番号: 昭和25(あ)19 / 裁判年月日: 昭和25年11月22日 / 結論: 棄却
主要食糧の移動を制限又は禁止することを認めた食糧管理法第九条の規定は、公共の福祉を維持するために設けられたもので憲法第二九条に反しない。