判旨
本件犯罪後の別個の犯罪に対する科刑を、累犯加重としてではなく単なる情状として考慮することは適法である。また、減刑令は裁判確定後に効力を生じるものであり、法定刑そのものを変更するものではない。
問題の所在(論点)
1. 本件犯罪の後に犯した別罪に対する科刑の事実を、量刑上の「情状」として考慮することの是非。2. 減刑令が、当該犯罪の法定刑そのものを変更する効果を有するか、あるいは刑訴法411条5号(刑の廃止・変更等)に該当するか。
規範
1. 犯後(判決前)の別罪による科刑の事実を、累犯加重の要件としてではなく、量刑の判断における「情状」として考慮することは、裁判所の裁量の範囲内であり許容される。2. 減刑令による恩赦は、裁判が確定した際にその確定判決に対して適用されるものであり、対象となる罪の法定刑自体を変更させる効果を持つものではない。
重要事実
被告人の弁護人は、原判決が本件犯罪後の別個の犯罪に対する科刑を考慮して量刑を決定したこと、および大赦令や減刑令の適用により法定刑に変更があるべきであるにもかかわらず考慮されていないことを不服として上告した。原審は、別罪の科刑を累犯加重の適用根拠とはせず、あくまで情状の一部として評価していた。
あてはめ
1. 原判決は、本件犯罪後の別罪を累犯加重の対象としたのではなく、あくまで情状として考慮したに過ぎず、裁量権の逸脱はない。2. 減刑令は、裁判が確定したときに初めてその確定裁判に対して行われるものである。したがって、裁判の基礎となる法定刑が変更されたわけではなく、刑訴法411条5号(刑の変更)や刑罰の廃止を理由とする破棄事由には当たらない。
結論
本件上告は棄却される。犯罪後の別罪科刑を情状として考慮することに違法はなく、また減刑令は法定刑を変更するものではないため、原判決に法令違反は認められない。
実務上の射程
量刑における情状の範囲に関する判断である。特に「犯後の事情」であっても、それが累犯加重という厳格な構成要件に該当しない場合であっても、裁判所の広範な裁量によって情状として評価し得ることを示している。また、恩赦による減刑と法定刑の変更を明確に区別する実務上の指針となる。
事件番号: 昭和26(あ)8 / 裁判年月日: 昭和27年12月17日 / 結論: 棄却
原判決が量刑の一事情として判示の事情と共に、本件犯罪が前刑の執行猶予期間内の犯行であることをも斟酌すれば第一審の科刑は不当でないと判示したに止り、所論の前科あるものは常に執行猶予を言渡し得ないとの法律判断をしたものではないときは、憲法一三条、一四条違反の主張はその前提を欠く。