判旨
量刑において被告人の前科を考慮することは、他の諸事情を無視してそれのみを標準とするものでない限り許容される。
問題の所在(論点)
量刑において古い前科を考慮することが、他の諸事情を無視した不当な量刑として、判例違反や刑訴法411条の破棄事由に該当するか。
規範
量刑の判断に際しては、被告人の前科のみを標準として他の情状を無視することは許されないが、前科を一つの要素として考慮すること自体は妨げられない。
重要事実
被告人が上告し、原判決が被告人の古い前科のみに量刑の標準を置き、その他の事情を無視したものであるとして、判例違反および職権破棄事由(刑訴法411条)を主張した事案である。
あてはめ
原判決の判文を検討すると、所論のように被告人の古い前科のみを量刑の標準としているわけではなく、その他の事情も考慮されていることが明らかである。したがって、量刑判断のプロセスにおいて他の諸事情を無視したという事実は認められない。
結論
本件量刑判断に判例違反や刑訴法411条を適用すべき事由は認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
量刑事情として前科を考慮することの限界を示唆している。実務上は、前科を重視しすぎることへの牽制として引用される可能性があるが、本判決自体は、前科以外の事情も総合的に考慮されていれば適法であるという判断枠組みを維持している。
事件番号: 昭和25(あ)1812 / 裁判年月日: 昭和27年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決の証拠の一部に証拠能力を欠くなどの違法があっても、その他の適法な証拠によって犯罪事実を十分に認定できる場合には、その違法は判決に影響を及ぼさない。自白の任意性に関する証拠の取捨選択は、経験則に反しない限り原審の専権に属する。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において上告した事案。第一審判決は…
事件番号: 昭和25(あ)1200 / 裁判年月日: 昭和26年2月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法411条は上告理由を定めた規定ではなく、同法405条の事由がない場合でも、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められる場合に、裁判所が職権で破棄し得る事由を定めたものである。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が上告を申し立てたが、その上告趣意の内容は、刑事訴訟法405条に規定…