判旨
控訴審において量刑不当の有無を判断する際、第一審判決後になされた被害弁償等の情状を考慮しなかったとしても、当然には判例違反や著しい量刑不当には当たらない。
問題の所在(論点)
第一審判決後になされた被害弁償等の新情状について、控訴審が量刑不当の有無を判断する際に斟酌しなかった場合、刑訴法405条の判例違反や同法411条2号の著しい量刑不当に該当するか。
規範
刑訴法381条の量刑不当を理由とする控訴趣旨に対し、控訴審が「量刑不当はない」と判断する場合、第一審判決後の新情状を具体的にどのように斟酌するかは裁判所の裁量に属し、特段の事情がない限り、それらの考慮の有無のみをもって直ちに違法とはされない。
重要事実
被告人が第一審で有罪判決を受けた後、控訴審の段階で被害者に対する弁償を行った。弁護人は、この第一審判決後の被害弁償という新情状を原判決(控訴審)が量刑に適切に斟酌していないことが、高等裁判所の判例に相反するものであると主張して上告した。
あてはめ
原判決は量刑不当の主張に対し「量刑不当はない」と判断したに留まり、第一審判決後の弁償を斟酌できるか否かについて明示的な法的判断を示したわけではない。したがって、判例と相反する判断をしたという前提を欠く。また、記録を精査しても、新情状が考慮されていないことをもって著しく刑の量定が不当であると認め、判決を破棄すべき事由は見当たらない。
結論
本件上告には刑訴法405条の上告理由がなく、また同法411条を適用すべき事由も認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
控訴審は事後審的性格を有するものの、第一審判決後の情状(示談・弁償等)を考慮して破棄自判することは可能である(刑訴法397条2項、398条〜400条参照)。しかし、本判決は、控訴審がそれらを取り上げずに控訴を棄却したとしても、直ちに上告理由となるような違法を構成するものではないことを示唆しており、控訴審の裁量権を認める実務上の指針となる。
事件番号: 昭和27(あ)1593 / 裁判年月日: 昭和28年9月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において控訴趣意として主張せず、かつ原判決が判断していない事項を上告理由とすることは、適法な上告理由にあたらない。 第1 事案の概要:被告人が、第一審手続における訴訟法違反(憲法37条1項違反を実質とするもの)を理由として上告を申し立てたが、当該事項は控訴審において控訴趣意として主張されてお…