判旨
控訴審において控訴趣意として主張せず、かつ原判決が判断していない事項を上告理由とすることは、適法な上告理由にあたらない。
問題の所在(論点)
控訴審において主張せず、かつ控訴審判決が判断していない事項を、上告審において新たに主張することが、適法な上告理由(刑訴法405条等)にあたるか。
規範
上告審の構造に鑑み、控訴審において控訴趣意として主張されず、かつ原判決が何ら判断を加えていない事項に関する主張は、特段の事情がない限り、適法な上告理由とはならない。
重要事実
被告人が、第一審手続における訴訟法違反(憲法37条1項違反を実質とするもの)を理由として上告を申し立てたが、当該事項は控訴審において控訴趣意として主張されておらず、原判決においても判断の対象とされていなかった。
あてはめ
本件における弁護人の主張は、控訴審において何ら争点化されておらず、原判決もそれについて判断を示していない。かかる主張は、実質的に第一審手続の単なる訴訟法違反を主張するものに帰し、上告審の事後審的性格からして、適法な上告理由を構成するものではないといえる。
結論
本件上告は、適法な上告理由にあたらない事項を主張するものとして、棄却されるべきである。
実務上の射程
上告審における事後審構造を前提とした「控訴審中心主義」を明確にする判例である。答案上は、上告理由の適格性を論じる際、控訴審での主張の有無を確認するための規範として用いる。
事件番号: 昭和25(あ)2125 / 裁判年月日: 昭和27年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として主張できる事項は、原則として原審において主張され、かつ原判決が判断を下した事項に限られ、これを欠く憲法違反の主張等は適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が盗取の事実等について争い、第一審判決の憲法違反および盗難被害届の証明力を主張して上告した事案。しかし、被告人が上…