裁判官に除斥の事由があれば、その裁判官は当該事件につき当然その職務の執行から排除されるのであつて、これについて敢て裁判を要するものではない(刑訴規則一二条の裁判は、主として当該裁判官が除斥の事由あることを認めない場合に関する規定と解すべきである)。
一 裁判官に除斥事由がある場合除斥の裁判を必要とするか 二 刑訴規則第一二条の意義
刑訴法20条,刑訴法21条,刑訴規則12条
判旨
裁判官に除斥事由がある場合、当該裁判官は法律上当然にその職務執行から排除されるため、これを確認するための別段の裁判は不要である。
問題の所在(論点)
裁判官に除斥事由がある場合、職務執行から排除されるために裁判(刑訴規則12条等)を必要とするか。また、除斥事由やその手続が一件記録に表示されていないことが違法となるか。
規範
刑事訴訟法に規定される除斥事由が存在する場合、当該裁判官は当該事件の職務執行から法律上当然に排除される。刑訴規則12条の裁判は、主に裁判官が除斥事由の存在を認めない場合に必要となる手続であり、当然に排除される効果を左右するものではない。
重要事実
被告人が上告審において、裁判官に除斥事由があること、およびその手続が記録に表示されていないこと等を理由に原判決の違法を主張した事案。なお、具体的な除斥事由の内容については判決文からは不明である。
事件番号: 平成16(あ)2716 / 裁判年月日: 平成17年8月30日 / 結論: 棄却
裁判官が公訴棄却の判決をし,又はその判決に至る手続に関与したことは,その手続において再起訴後の第1審で採用された証拠又はそれと実質的に同一の証拠が取り調べられていても,再起訴後の審理において,刑訴法20条7号本文所定の除斥原因に当たらない。
あてはめ
裁判官に除斥事由があるときは、法律の規定により当然にその職務執行から排除される。したがって、その効果を発生させるために敢えて裁判を経る必要はない。この帰結として、一件記録に除斥事由やその手続に関する表示がなかったとしても、直ちに手続上の違法が生じるものではないと解される。
結論
裁判官の除斥は当然に生じるため、別段の裁判を要せず、記録上の不備も直ちに違法とはならない。上告棄却。
実務上の射程
刑事訴訟における裁判官の除斥の当然性(当然排除)を確認した。答案上では、除斥事由のある裁判官が関与した判決が構成の違法(刑訴法379条等)に該当するかを論じる際、裁判の要否ではなく事由の存否を核心として論じる根拠となる。
事件番号: 昭和26(あ)5086 / 裁判年月日: 昭和27年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白の任意性について、記録上、任意にされたものでないことを疑わしめるに足りる形跡が認められない場合には、証拠能力が肯定される。 第1 事案の概要:被告人および弁護人は、事実認定の証拠に採用された被告人の供述(自白)について、任意性に疑いがある旨を主張して上告した。しかし、記録を精査しても、…
事件番号: 昭和26(れ)921 / 裁判年月日: 昭和26年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件判例は、上告趣意が単なる訴訟法違反の主張に留まり、刑訴法405条の上告理由に該当しない場合には、上告を棄却すべきであるとの判断を示したものである。 第1 事案の概要:上告人は、弁護人を通じて上告を申し立てたが、その上告趣意の内容は単なる訴訟法違反を主張するものであった。原審の判断や具体的な公訴…