判旨
国税犯則事件において、起訴前通告処分の事実は、被告人が証拠として同意した通告書の写しや、通告を受けたが納付できなかった旨の検察官面前調書により認定することができる。
問題の所在(論点)
国税犯則事件における公訴提起の前提条件としての「通告処分」の有無を、どのような証拠に基づき認定すべきか、また本件において通告処分の事実は認められるか。
規範
国税犯則事件の公訴提起の要件とされる通告処分があったか否かの事実認定については、刑事訴訟法の証拠法の原則に従い、適法な証拠能力を有し、かつ十分な証明力を有する証拠に基づいて判断されるべきである。
重要事実
被告人が国税犯則事件で起訴されたが、弁護人は起訴前に通告処分がなされていなかったと主張した。記録上、第一審において被告人が証拠とすることに同意した「通告書の写し」が存在し、さらに被告人の検察官に対する供述調書には「通告処分を受けたが高額で納められなかった」旨の記載があった。
あてはめ
まず、通告書の写しについては、被告人が第一審において証拠とすることに同意しており、証拠能力に欠ける点はない。次に、被告人の検察官に対する供述調書の内容は、自ら通告を受けた事実を認める不利益な事実の承認であり、特段これを証拠とすることを妨げる理由はない。これらの証拠を総合すれば、本件起訴前に通告処分が行われた事実は明白であると評価できる。
結論
本件起訴前に適法な通告処分があったと認められるため、訴訟手続の法令違反はないとして、上告を棄却する。
実務上の射程
国税犯則事件の訴追要件(通告処分)の存否に関する事実認定の手法を示したもの。被告人の同意がある書面や自己に不利益な供述調書が、訴訟条件の存否を判断する有力な証拠となることを確認した事例として位置づけられる。
事件番号: 昭和27(あ)2553 / 裁判年月日: 昭和28年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由に当たらない事項や、原審で主張されず判断もされていない事項を新たに上告理由として主張することは認められない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、上告趣意において憲法違反を主張したが、その実質は単なる訴訟法違反であった。また、原審(控訴審)において控訴趣意として主張されず、原審が判断してい…