判旨
煙草専売法における政府の売り渡さない巻煙草の譲受禁止について、元売捌人や小売人といった許可を受けた者による正当な取扱いは、法定の除外事由を定めたものではなく、同法に別段の除外事由は存在しない。
問題の所在(論点)
煙草専売法上の「政府の売渡さない巻煙草の譲受禁止」の規定に関し、元売捌人等の許可業者の存在を理由として、法文に規定のない除外事由(違法性阻却事由ないし構成要件該当性除外事由)を認めることができるか。
規範
煙草専売法が規定する「政府の売渡さない巻煙草の譲受禁止」については、法律上、別段の除外事由と認めるべきものは存在しない。許可を受けた元売捌人や小売人が行う業務は、政府が売り渡した巻煙草の譲渡を取り扱う正当な業務の範囲内のものであり、禁止規定そのものに対する例外事由を構成するものではない。
重要事実
被告人が煙草専売法違反(政府の売り渡さない巻煙草の譲受)に問われた事案において、弁護側は、元売捌人や小売人のような許可を受けた者の存在を根拠に、譲受禁止規定には例外(除外事由)が認められるべきであると主張して上告した。
あてはめ
弁護人が主張する元売捌人や小売人は、あくまで「政府が売り渡した」巻煙草の流通を担う許可業者に過ぎない。これら許可業者の活動は適法な流通経路を形成するものであって、法が禁止する「政府の売り渡さない(不正な)」巻煙草の譲受を正当化する除外事由を定めたものとは解されない。したがって、同法に別段の除外事由を認める余地はない。
結論
本件譲受禁止規定に法定の除外事由は存在せず、上告を棄却する。
実務上の射程
行政取締法規における禁止規定の解釈において、法文に明記されていない例外事由を類推や拡張によって認めることに対し、慎重な態度を示すものである。特に専売制度のような公的規制の根幹に関わる規定については、許可業者の存在をもって直ちに禁止規定の適用範囲が限定されるわけではないことを示唆している。
事件番号: 昭和38(あ)2204 / 裁判年月日: 昭和39年9月9日 / 結論: 棄却
一 公社または指定小売人でない者が、反復継続してする意図のもとに、製造たばこを他に販売する行為は、たばこ専売法第二九条第二項に違反するものであることは、当裁判所の判例とするところであつて、―昭和三三年(お)第一二六号同三五年六月二三日第一小法廷判決、刑集一四巻八号一〇八〇頁・昭和三七年(あ)第四一〇号同三七年九月一三日…