判旨
製造たばこの販売に関し、第三者の委託による販売ではなく、被告人自身による販売であると認定できる場合には、被告人についてたばこ専売法違反(無許可販売)の罪が成立する。
問題の所在(論点)
たばこ専売法違反(無許可販売)における「販売」の主体の認定、および第三者の委託販売を仮装した販売行為の帰属が問題となる。
規範
製造たばこの販売行為の主体は、形式的な委託関係の有無にかかわらず、当該販売行為の実態を検討し、実質的に誰が販売主体であるかを認定して判断すべきである。
重要事実
被告人Bは、製造たばこの販売を行った。弁護人は、当該販売が小売人Aからの委託に基づくものであり、被告人自身が主体となった販売ではない旨を主張して、たばこ専売法違反の成立を争った。第一審および原審(控訴審)は、本件販売が小売人Aの委託販売ではないと認定し、被告人自身による販売であると判断した。
あてはめ
原判決の認定によれば、本件販売は小売人Aの委託販売であるとは認められない。事実関係および記録に照らすと、被告人Bが自ら販売を行ったものと判断される。したがって、形式的に委託販売の形を借りていたとしても、実態として被告人自身の販売行為である以上、被告人を販売主体として処罰することは正当である。
結論
本件製造たばこの販売主体は被告人Bであり、たばこ専売法違反が成立する。上告棄却。
実務上の射程
行政法規の違反行為において、名義人や委託元が存在する場合でも、事実認定に基づき「実質的な行為主体」を特定することで処罰の妥当性を確保する実務上の判断手法を示している。答案上は、主体性の認定が争点となる場合に、形式的な法律関係(委託等)よりも実質的な販売態様を重視する論拠として活用できる。
事件番号: 昭和33(あ)1265 / 裁判年月日: 昭和35年6月23日 / 結論: 棄却
公社または指定小売人でない者が、指定小売人から売り渡された「製造たばこ」を、本件のように反覆継続してする意図の下に他に販売したとき(九ケ月二一日間約四九回にわたり新生合計四六、二五九個、ピース合計八七、五八〇個、光合計一四、八八〇個を同一パチンコ屋に販売)は、たばこ専売法第二九条第二項に違反する。
事件番号: 昭和30(あ)3255 / 裁判年月日: 昭和33年4月10日 / 結論: 破棄自判
被告人が、窃盗本犯から依頼を受けて、その窃取にかかる専売公社の製造たばこであるピース九百五十箱および光五百箱を、その情を知りながら代金合計五万三千円で特定人に売却する周旋をしたとしても、被告人の所為はたばこ専売法第二九条第二項の販売をしまたはこれを幇助したものということはできない