公社または指定小売人でない者が、指定小売人から売り渡された「製造たばこ」を、本件のように反覆継続してする意図の下に他に販売する場合(四十四日間に一日平均約千個を同一のパチンコ屋に販売)は、たばこ専売法第二九条第二項に違反する。
たばこ専売法第二九条第二項に違反する一事例
たばこ専売法29条2項,たばこ専売法71条5号
判旨
指定小売人が消費者に売り渡した製造たばこであっても、公社または指定小売人でない者が反復継続の意図をもって他に販売する行為は、たばこ専売法29条2項に違反する。
問題の所在(論点)
旧たばこ専売法29条2項において、一度消費者に販売された「製造たばこ」を、無資格者が反復継続の意図をもって転売する行為が、同条にいう「販売」に該当し、違法となるか。
規範
たばこ専売法上の「販売」とは、一たん消費者に売り渡された後の製品であっても、公社又は指定小売人でない者が、反復継続してする意図の下に、これを他に転売する行為を包含するものと解する。
重要事実
被告人は、指定小売人が既に消費者に売り渡した製造たばこを入手し、これを公社または指定小売人の資格がないにもかかわらず、反復継続して第三者に販売した(なお、具体的な販売数や期間、金額等の詳細は判決文からは不明)。
あてはめ
本件において、被告人は公社でも指定小売人でもない。所論の製造たばこは既に出口の段階(指定小売人から消費者への売渡し)を経たものであるが、被告人がこれを「反復継続してする意図」の下に他に販売した事実は、専売制度の趣旨を潜脱するものであり、同法29条2項の禁止する販売行為に当たると評価される。一度流通した物品であっても、無許可の業態として反復継続的に転売を行う限り、同法の規制対象外とはならない。
結論
無資格者が反復継続の意図をもって製造たばこを転売する行為は、たばこ専売法29条2項に違反する。
実務上の射程
行政上の許可・免許制を前提とする取締法規における「販売」の概念について、形式的な流通段階(一次流通か二次流通か)にかかわらず、業として(反復継続の意図をもって)行われる限り、規制の対象に含まれることを示した。経済犯罪や業規制の解釈において、処罰範囲を限定しすぎない実務上の指針となる。
事件番号: 昭和38(あ)2204 / 裁判年月日: 昭和39年9月9日 / 結論: 棄却
一 公社または指定小売人でない者が、反復継続してする意図のもとに、製造たばこを他に販売する行為は、たばこ専売法第二九条第二項に違反するものであることは、当裁判所の判例とするところであつて、―昭和三三年(お)第一二六号同三五年六月二三日第一小法廷判決、刑集一四巻八号一〇八〇頁・昭和三七年(あ)第四一〇号同三七年九月一三日…
事件番号: 昭和30(あ)3255 / 裁判年月日: 昭和33年4月10日 / 結論: 破棄自判
被告人が、窃盗本犯から依頼を受けて、その窃取にかかる専売公社の製造たばこであるピース九百五十箱および光五百箱を、その情を知りながら代金合計五万三千円で特定人に売却する周旋をしたとしても、被告人の所為はたばこ専売法第二九条第二項の販売をしまたはこれを幇助したものということはできない