公社または指定小売人でない者が、指定小売人から売り渡された「製造たばこ」を、本件のように反覆継続してする意図の下に他に販売したとき(九ケ月二一日間約四九回にわたり新生合計四六、二五九個、ピース合計八七、五八〇個、光合計一四、八八〇個を同一パチンコ屋に販売)は、たばこ専売法第二九条第二項に違反する。
たばこ専売法第二九条第二項に違反する事例。
たばこ専売法29条2項,たばこ専売法71条5号
判旨
公社または指定小売人でない者が、指定小売人から買い渡された製造たばこを、営利の目的をもって反復継続して販売する行為は、たばこ専売法(当時)における製造たばこの販売禁止規定に違反する。
問題の所在(論点)
たばこ専売法(当時)29条2項において、公社または指定小売人以外の者が製造たばこを販売することが禁じられているが、指定小売人から購入したたばこをさらに第三者(パチンコ店等)へ継続的に転売する行為が、同条の「販売」に該当し違法となるか。
規範
製造たばこの販売が禁止される主体(公社または指定小売人以外の者)に該当する場合、指定小売人から正当に購入したたばこであっても、これを反復継続して販売する意思(営利目的の転売等)をもって特定の相手方に継続的に卸売等を行う行為は、たばこ専売法が禁ずる無免許販売に該当する。
重要事実
被告人は、パチンコ店A会館の景品用たばこを転売して利得を得ようと計画した。被告人は、自己の現金や小切手を用いて一般小売商から「新生」「ピース」「光」等の製造たばこを定価より安く買い集めた。その後、昭和29年2月から同年11月までの約9ヶ月間にわたり、合計約49回にわたって、買い集めた大量のたばこを定価でA会館に販売し、その差額による利益を得ていた。
あてはめ
被告人は、公社でも指定小売人でもない。被告人が行った行為は、単なる一回的な譲渡ではなく、利得を目的として一般小売商から組織的に買い集めたたばこを、約9ヶ月間で49回という頻度で特定のパチンコ店に納入したものである。これは「反復継続してする意図の下に」行われた販売行為であるといえ、指定小売人から売り渡された後の転売であっても、専売制度の趣旨に照らし、同法29条2項に違反する販売にあたると評価される。
結論
被告人の所為はたばこ専売法29条2項に違反する。したがって、有罪とした原判決に誤りはなく、上告は棄却される。
実務上の射程
行政上の許可・免許を要する物品の販売について、形式的に正規の流通ルート(小売店)から購入したものであっても、それを業として(反復継続の意思をもって)再販売する場合には、無免許販売罪が成立しうることを示す。現在のたばこ事業法等、他の専売的規制や免許制が残る物品の解釈においても、販売の「業性」を判断する際の参考となる。
事件番号: 昭和30(あ)1025 / 裁判年月日: 昭和32年7月9日 / 結論: 棄却
公社または指定小売人でない者が、指定小売人から売り渡された「製造たばこ」を、本件のように反覆継続してする意図の下に他に販売する場合(四十四日間に一日平均約千個を同一のパチンコ屋に販売)は、たばこ専売法第二九条第二項に違反する。