所論は、たばこ専売法第七一条第一号、第六二条二項の罰則が白地刑法であると断じ、これを前提にして右罰則の違憲をいうので考察するに、右罰則は公社からくずたばこを買い受けた者に対し、該たばこをその買受の際公社の定めた目的以外の用途に充てることを禁止し、これに違反した場合には刑罰の制裁が科せらるべき旨を規定したものであるが、右にいわゆる「公社の定めた目的」とは、公社がくずたばこを売り渡す都度、各買受人との間に当該契約の内容として、同法第六二条第一項の例示する趣旨にのとり定める個々の使用目的を総括指称するものに他ならないこと右規定の立言身体に徴して明らかであつて、右の点に関し同規定に所論のように白地が存するとか、白地の補充を公社に委任したものと解すべき根拠は毫も見出すことはできない。しからば、右罰則をもつて白地刑法に属するとなす論旨は失当である。
たばこ専売法第六二条第二項にいう「公社の定めた目的」の意味―同法第七一条第一号第六二条の罰則は白地刑法か
たばこ専売法62条2項,たばこ専売法71条1号
判旨
たばこ専売法に基づき公社が定める「使用目的」は、契約内容として定められる個別の使用目的を総括するものであり、白地刑法として委任されたものとは解されない。したがって、同法の罰則規定は憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
たばこ専売法71条1号等が定める「公社の定めた目的」という文言が、構成要件の核心部分を公社の裁量に委ねる白地刑法に該当し、憲法31条、73条6号に違反するか。
規範
罰則規定における禁止行為の対象が、行政庁等の処分や契約等により具体化される場合であっても、それが法文上の文言により総括的に示され、個別の事案ごとにその内容が特定されるものであるならば、直ちに白地刑法として立法権の委任に関する憲法上の問題を生ずるものではない。
重要事実
被告人は、日本専売公社から「くずたばこ」を買い受けた。たばこ専売法(当時)は、公社から買い受けたくずたばこを、買受の際に公社が定めた目的以外の用途に供することを禁じ、これに違反した場合の罰則(同法71条1号、62条2項)を設けていた。被告人は、定められた目的外の用途にくずたばこを供したとして起訴されたが、当該罰則は構成要件の内容を公社の定めに委任する「白地刑法」であり、罪刑法定主義に反し違憲であると主張して上告した。
あてはめ
同法にいう「公社の定めた目的」とは、公社がくずたばこを売り渡す際に、個々の買受人との間で締結される売買契約の内容として、法62条1項の例示目的に基づき定める個別の使用目的を指称するものである。これは法文の立言自体から明らかであり、行政機関に対して罰則の補充を白紙委任したものとは認められない。すなわち、禁止されるべき行為の態様は法律によってあらかじめ示されており、具体的な適用局面において個別の契約内容により特定されるに過ぎない。
結論
本件罰則は白地刑法には当たらず、合憲である。上告棄却。
実務上の射程
罪刑法定主義(憲法31条)における「明確性の原則」や「白地刑法」の限界が問題となる場面で活用できる。法律が禁止行為を概括的に規定し、その具体的対象を契約や個別処分に委ねている場合でも、法律自体に判断の指針や枠組みが示されていれば、白地刑法としての違憲性は否定されるという判断枠組みを示している。
事件番号: 昭和36(あ)2568 / 裁判年月日: 昭和37年10月4日 / 結論: 棄却
所論は、本件没収、追徴は、被告人の犯罪に籍口して、国が財政収入の二重取りをするものであるから、憲法所論法条に違反するというのである。しかし、本件没収は、たばこ専売法違反行為の取締りを励行する為に、被告人に対し、附加刑として科せられたものであり、本件追徴は右没収に代るべきものとして被告人からなされたものであつて、たばこ専…