第一審における被告人の国選弁護人選任方の請求の効力が第二審に対しても及ぶものと解しなかつたからといつて、被告人の国選弁護人選任請求権の行使を妨げたとはいえない。
被告人の国選弁護人選任請求権の行使を妨げたといえない事例−第一審における請求の効力が第二審に及ばないと解した場合
刑訴法272条,刑訴法404条,刑訴規則177条,刑訴規則178条,刑訴規則250条
判旨
控訴審において裁判所が国選弁護人選任請求権の告知を行わず、公判期日の2日前に弁護人を選任したとしても、被告人の弁護人依頼権を侵害する違憲の事実はない。
問題の所在(論点)
控訴審において、裁判所が被告人に対し国選弁護人選任請求権の告知を行わないこと、第一審の選任請求の効力が及ばないこと、及び公判直前に選任を行うことが、憲法37条3項の保障する弁護人依頼権を侵害するか。
規範
憲法37条3項及び刑法等の諸規定に関し、控訴審において被告人に国選弁護人選任請求権があることを改めて告知する義務はない。また、第一審における国選弁護人選任の効果は当然には第二審に及ばず、公判期日の直前に選任がなされたとしても、直ちに被告人の防御権行使を不当に妨げたものとは解されない。
重要事実
被告人が控訴した第二審(原審)において、裁判所は被告人に対し、国選弁護人の選任を請求できる旨の告知を行わなかった。また、原審は公判期日のわずか2日前に国選弁護人を選任した。これに対し弁護人は、第一審での選任請求の効力が第二審にも及ぶべきであり、かつ、告知を欠き期日直前に選任したことは国選弁護人選任請求権の行使を妨げる違憲な手続であると主張して上告した。
あてはめ
まず、第二審裁判所が被告人に対し国選弁護人の選任を請求し得る旨を告知しなかったとしても、それは権利行使を妨げたことにはならない。次に、第一審における国選弁護人選任請求の効力が当然に第二審にまで及ぶものと解する根拠はない。さらに、公判期日の2日前に国選弁護人を選任したという手続についても、それ自体をもって被告人の弁護人依頼権の行使を実質的に妨げたとは認められない。したがって、本件における一連の裁判所の措置に憲法違反の事由は存在しない。
結論
被告人の国選弁護人選任請求権の行使を妨げたとはいえず、違憲の主張は当たらない。
実務上の射程
刑事訴訟法上の告知義務の範囲や、審級間における選任請求の効力の独立性を確認する際の根拠となる。ただし、現代の運用や刑事訴訟規則等に照らした適正手続の観点からは、より早期の選任が望ましいとされるため、あくまで憲法上の最低限の要請を示したものとして理解すべきである。
事件番号: 昭和26(あ)2914 / 裁判年月日: 昭和28年2月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条3項前段の弁護人依頼権は、被告人が自ら行使すべきものであり、裁判所に選任請求が可能であることの告知義務を課すものではない。また、必要的弁護事件の範囲は立法政策により決定されるものであり、直ちに憲法31条や37条から定まるものではない。 第1 事案の概要:被告人らは、原審(控訴審)において…