判旨
実刑判決の言い渡しは憲法25条に違反せず、また憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」にも該当しない。
問題の所在(論点)
被告人に対して実刑を言い渡すことが、憲法25条の生存権の保障に違反するか。また、実刑の言い渡しが憲法36条の「残虐な刑罰」に該当するか。
規範
憲法25条の生存権規定は、被告人に対する個別の実刑判決を制限する趣旨ではなく、また憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」とは、刑罰の内容・性質が人道上過酷なものを指し、実刑判決そのものがこれに当たるわけではない。
重要事実
被告人が刑事事件により有罪とされ、実刑の言い渡しを受けた。これに対し、弁護人は実刑の言い渡しが憲法25条(生存権)および憲法36条(残虐な刑罰の禁止)に違反する旨を主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、過去の大法廷判決を引用し、実刑の言渡しと憲法25条の関係、および憲法36条の「残虐な刑罰」の意義を検討した。その結果、実刑判決の存在自体が生存権を侵害するものとは言えず、また人道上過酷な刑罰を意味する「残虐な刑罰」にも該当しないと評価した。
結論
本件実刑判決は憲法25条および36条に違反しない。したがって、上告は棄却される。
実務上の射程
刑事手続における憲法違反の主張に対し、実刑の言い渡しそのものが生存権侵害や残虐な刑罰に当たらないことを示す根拠として、形式的な憲法論の排斥に用いることができる。
事件番号: 昭和25(あ)707 / 裁判年月日: 昭和26年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」とは、不必要な精神的または肉体的苦痛を内容とする、人道上残酷と認められる刑罰を指す。単に被告人にとって過重であると感じられるだけでは、これに当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、宣告された刑罰が過重であり、憲法が禁じる残虐な刑罰に該当すると主張して上告した事案。…