判旨
執行猶予を言い渡さない判決は憲法に違反するものではなく、また、憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらない。
問題の所在(論点)
執行猶予を言い渡さない判決が、基本的人権の侵害または憲法36条が禁ずる「残虐な刑罰」に該当し、憲法違反となるか。
規範
1. 執行猶予は裁判所の裁量に属する事項であり、執行猶予を言い渡さない判決が直ちに基本的人権を侵害し憲法に違反することはない。2. 憲法36条にいう「残虐な刑罰」とは、刑罰の性質そのものが人道上の観点から見てあまりに過酷なものを指し、執行猶予の付かない刑罰が当然にこれに該当するものではない。
重要事実
被告人が上告審において、第一審・控訴審判決が執行猶予を言い渡さなかったこと等について、憲法違反および刑訴法411条の職権破棄事由がある旨を主張して争った事案である。
あてはめ
最高裁は、先行する大法廷判決を引用し、執行猶予を付さないこと自体は憲法違反の問題を生じさせないことを再確認した。本件記録を精査しても、職権で判決を破棄すべき刑訴法411条該当事由は認められないと判断した。
結論
執行猶予を付さない判決は憲法違反ではなく、本件上告は棄却される。
実務上の射程
執行猶予の成否は事実審の広範な裁量に委ねられている。憲法違反を主張して上告する場合でも、実質が単なる不当な量刑の主張であれば上告理由とならない。実務上、量刑不当は刑訴法411条2号(著しく刑の量定が不当)の職権破棄事由として主張することになる。
事件番号: 昭和27(あ)152 / 裁判年月日: 昭和27年12月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】実刑判決の言い渡しは憲法25条に違反せず、また憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」にも該当しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件により有罪とされ、実刑の言い渡しを受けた。これに対し、弁護人は実刑の言い渡しが憲法25条(生存権)および憲法36条(残虐な刑罰の禁止)に違反する旨を主張して上告した。 …