判旨
国税犯則取締法に基づく告発は、通告履行の見込みがないと認められる場合には、通告処分を経ることなく直ちに行うことができる。
問題の所在(論点)
国税犯則事件において、通告処分を経ずに直ちになされた告発に基づく起訴が適法か(通告履行の見込みがない場合の告発の適法性)。
規範
国税犯則取締法14条2項(現行の国税通則法152条等に相当)に基づき、収税官吏は、犯則者に通告を履行する見込みがないと認めるときは、通告処分(行政処分)を経ることなく、直ちに検察官への告発を行うことができる。
重要事実
本件における被告人の犯則行為に対し、国税当局は、記録上の告発書によれば、被告人に通告を履行する見込みがないと判断した。これに基づき、収税官吏は通告処分を行うことなく、国税犯則取締法14条2項の規定に則って、検察官に対して告発を行った。
あてはめ
本件の起訴は、国税犯則取締法14条2項により、通告履行の見込みがないためになされた告発に基づいている。記録によれば、告発書において通告履行の見込みがない旨が明記されており、同法の定める要件を充足している。したがって、通告処分を前置していない点に手続上の瑕疵は認められず、適法な告発に基づく起訴であるといえる。
結論
本件起訴は適法であり、上告は棄却される。通告履行の見込みがない場合の直ちになされる告発は有効である。
実務上の射程
国税犯則事件における刑事手続と行政手続の接続に関する判断。実務上、通告処分は原則として前置されるべきものであるが、本判決は、履行見込みがないという実態がある場合には、行政側の裁量により直ちに告発に移行できるという例外規定(現・国税通則法152条1項ただし書等)の適用を肯定している。答案上は、告発の有効性や訴訟条件の充足性を検討する際に、本条項を根拠として簡潔に触れるにとどめる。
事件番号: 昭和26(あ)2401 / 裁判年月日: 昭和28年2月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】国税犯則取締法に基づき、税務署長が犯則の情状を懲役刑に相当するものと認めて告発した場合には、通告手続を経ることなく起訴することが認められる。 第1 事案の概要:所轄税務署長は、本件犯則(国税に関する法令違反)の情状について、懲役刑に相当するものと認めた。そのため、同署長は国税犯則取締法14条2項の…