判旨
盗品等関与罪の成立には、対象物が盗品等であることの確定的認識までは不要であり、盗品等であるかもしれないという認識、すなわち未必の故意があれば足りる。
問題の所在(論点)
盗品等関与罪(旧賍物罪)の成立において、対象物が盗品等(賍物)であることの認識として、確定的な認識が必要か。あるいは、盗品等であるかもしれないという「疑い」程度の認識(未必の故意)で足りるか。
規範
故意(刑法38条1項)の成立には、客観的構成要件に該当する事実の確定的認識は不要であり、その事実が発生するかもしれないという認識(未必の故意)があれば足りる。これを盗品等関与罪についてみれば、対象物が盗品等(「賍物」)であることの認識についても、確定的認識を要さず、盗品等であるかもしれないという認識があれば足りる。
重要事実
被告人は、判示の日時・場所において、特定の物品(賍物)を3回にわたり預かった。被告人は、原審公判において「その品物は泥棒をしてきた品物ではないかとの疑いを持っていた」旨の供述をしていた。弁護人は、このような半信半疑の状態では盗品等であることの確定的認識があったとはいえず、犯意(故意)を認めることはできないと主張して上告した。
あてはめ
被告人が物品を預かる際、それが「泥棒をしてきた品物ではないか」との疑念を抱いていた事実は、対象物が盗品等である可能性を認識していたことを示している。このような「疑い」は、対象物が盗品等であるかもしれないという認識に他ならず、未必の故意を基礎付けるに十分である。したがって、確定的認識がないことを理由に故意を否定する弁護人の主張は失当であり、未必の故意による犯意の認定は正当である。
結論
盗品等関与罪の成立には、未必の故意があれば足りる。したがって、盗品等であるとの疑いを持ちつつ預かった被告人には同罪の故意が認められる。
実務上の射程
故意の一般論として「未必の故意」で足りることを、盗品等関与罪の文脈で明示した射程の長い判例である。答案上は、客観的構成要件該当性が認められることを前提に、被告人の認識が「疑い」にとどまる場合であっても、本判例を引用して故意を肯定する論理として活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)1254 / 裁判年月日: 昭和26年11月15日 / 結論: 棄却
理由不備乃至採証法則違反として破棄差戻された後の第二審が証拠を追加して同一事実を認定した場合には、必ずしも上級審の裁判所の裁判における判断と相反する判断をしたことにはならない。