従つて本件訂正申立の理由は既に違憲を主張する前提である事実関係において事実と相違しその理由がないから刑訴法第四一七条第一項に則り主文のように決定する。
上告棄却の決定に対する訂正申立を実質的に判断して棄却した事例
刑訴法417条1項
判旨
上告理由が刑訴法411条の職権発動を促すに過ぎず、同法405条の事由に該当しないことが明らかな場合、裁判所は刑訴法386条1項3号を準用して決定で上告を棄却できる。また、被告人のみが控訴した事案で第一審より刑が軽くなっている場合、二重処罰の禁止等の憲法違反を理由とする判決訂正の申立は理由がない。
問題の所在(論点)
上告理由が適法な上告理由(刑訴法405条)に該当しない場合に決定で棄却することの可否、および被告人のみが控訴し刑が減軽された場合における二重処罰禁止違反(憲法39条)の成否。
規範
上告理由が刑訴法411条1号または2号に基づき裁判所の職権発動を促すに過ぎず、同法405条所定の上告理由(憲法違反・判例違反)に該当しないことが明白な場合には、刑訴法386条1項3号の規定を準用し、決定をもって上告を棄却することができる。
重要事実
第一審で懲役1年6月等の言渡しを受けた被告人が控訴したところ、控訴審は量刑不当等を理由に第一審判決を破棄し、被告人に対し第一審より軽い懲役1年を言い渡した。これに対し、被告人が「検事控訴に基づき直接事実審理をすることなく第一審より重い刑を言い渡したことが憲法39条に違反する」と主張して上告棄却決定に対する訂正の申立を行った事案。
事件番号: 昭和26(れ)939 / 裁判年月日: 昭和26年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の量刑不当の主張は刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、また、記録を精査しても同法411条を適用して原判決を破棄すべき顕著な事由は認められない。 第1 事案の概要:被告人が量刑不当を理由として上告を申し立てた事案であるが、提出された上告趣意書の内容は、単に刑の量定が重すぎるという主張にとど…
あてはめ
本件の上告趣意書は職権発動を促すに過ぎず、刑訴法405条の事由に該当しないことは記載自体から明白であるため、決定による棄却は適法である。また、訂正申立の理由は「検事控訴により第一審より重い刑が言い渡された」ことを前提とするが、事実は被告人本人の控訴により第一審(懲役1年6月)より軽い刑(懲役1年)が言い渡されており、主張の前提となる事実関係が誤っている。
結論
本件上告を決定で棄却したことは適法であり、憲法39条違反を理由とする訂正申立はその前提を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
上告審における決定棄却の適法性と、不利益変更禁止の原則に関連した事実誤認に基づく憲法違反主張の排斥を明確にした点に意義がある。答案上は、上告理由の適格性や判決訂正の要件を論じる際の基礎知識として活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)1710 / 裁判年月日: 昭和26年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張していても、その実質が単なる量刑不当の主張にすぎない場合は、適法な上告理由には当たらない。また、刑訴法411条を適用して職権で判決を破棄すべき事由がない限り、上告は棄却される。 第1 事案の概要:被告人側は、原判決の刑の量定が重すぎることを不服とし、憲法違反を理由に掲げて上告を申し立…
事件番号: 昭和26(れ)1314 / 裁判年月日: 昭和26年11月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が刑事訴訟法405条に該当せず、かつ同法411条を適用して判決を破棄すべき事由も見当たらないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対して上告を申し立てたが、添付された判決文からは被告人が起訴された具体的な罪名や犯罪事実、および弁護人が主張した上告趣意…
事件番号: 昭和26(れ)283 / 裁判年月日: 昭和26年6月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、弁護人の上告趣意が刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条を適用して職権で判決を取り消すべき事由も認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:本件の上告人は、弁護人を通じて上告趣意を提出したが、具体的な事案の内容や下級審の判断、上告趣意の詳細について…