一 第一審判決が被告人は昭和六年一一月二六日生であることを認定し昭和二六年一月一〇日の判決宣告当時二〇歳未満であることを明らかにしながら、被告人に対し有期懲役刑をもつて処断するにあたり定期刑を科し、控訴審においてこの点を看過して控訴棄却の判決をした場合は、原判決に少年法第五二条第一項に違反した違法があり、非常上告は理由がある。 二 少年法第二条にあたる少年に対し有期懲役刑に処すべき場合に、同法第五二条第一項但書に定める短期五年の制限を超えて懲役六年の定期刑を科したときは、控訴審がこの点を看過して控訴棄却の判決をしたときは刑訴第四五八条第一号但書にいわゆる原判決が被告人のため不利益である場合にあたる。 三 少年法第五二条第一項違反を理由として刑訴第四五八条第一号但書により原判決を破棄して自判する場合は、当時被告人が既に少年法第二条の少年にあたらないときでも、原判決及び第一審判決当時を基準として少年法を適用すべきである。
一 少年法第五二条第一項に違反した判決の違法と非常上告 二 刑訴第四五八条第一号但書にいわゆる原判決が被告人のため不利益であるときにあたる一事例 三 非常上告審における自判と適用法令を定める時期的基準
刑訴法458条1号,少年法2条,少年法68条,少年法52条1項
判旨
判決当時20歳未満の少年に対しては、少年法52条に基づき不定期刑を科すべきであり、これを失念して定期刑を科した判決は、法令の適用を誤った違法なものである。
問題の所在(論点)
判決言渡時に20歳未満である被告人に対し、少年法52条所定の不定期刑を科さずに定期刑を科した判決の適否。
規範
少年法2条の「少年」に該当する者(20歳に満たない者)に対し、法定刑に幅のある有期刑を科す場合には、同法52条に基づき、短期と長期を定めた不定期刑を科さなければならない。この規定は強行規定であり、これに反して定期刑を科すことは法令適用の誤りとなる。
重要事実
事件番号: 平成7(さ)1 / 裁判年月日: 平成7年6月19日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】20歳に満たない少年に対し、執行猶予を付さずに懲役刑を科す場合は、少年法52条1項に基づき、原則として不定期刑を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は昭和50年10月10日生まれであり、平成6年4月16日の犯行時及び判決時において20歳に満たない少年であった。被告人は、酒気を帯びた…
被告人Aは共謀の上、殺人の目的で被害者を刺傷し、敗血症により死亡させた。第一審裁判所は被告人を懲役6年に処したが、判決言渡日である昭和26年1月10日当時、被告人は昭和6年11月26日生まれであり、いまだ20歳に満たない「少年」であった。被告人は控訴したが棄却され、その後判決が確定していたため、検事総長により非常上告がなされた。
あてはめ
被告人の生年月日(昭和6年11月26日)に照らせば、第一審判決時において被告人は19歳であり、改正少年法2条および同法附則68条により「少年」に該当する。少年に対して有期懲役を科す場合は少年法52条の適用を受けるべきところ、第一審は定期刑である懲役6年を科しており、短期の限度である5年をも超えている。したがって、不定期刑を科さなかった第一審判決およびこれを維持した原判決には、法令適用の違法が認められる。
結論
被告人は少年法52条の適用を受けるべき少年であるため、原判決および第一審判決を破棄し、被告人を懲役5年以上6年以下の不定期刑に処する。
実務上の射程
刑事訴訟において、被告人が少年(20歳未満)であるか否かの基準時は「判決時」である。答案作成上は、被告人の年齢を確認し、少年に該当する場合は必ず少年法52条の不定期刑(相対的不定期刑)の適用の有無を検討する必要がある。本件のように確定後に年齢誤認が判明した場合は、非常上告の対象となり得る。
事件番号: 昭和24新(そ)1 / 裁判年月日: 昭和27年12月11日 / 結論: その他
一 少年法第五一条にいわゆる「一〇年以上一五年以下において懲役又は禁錮を科する」とは、一〇年から一五年までの間の定期の懲役または禁錮を科するという趣旨である。 二 無期刑をもつて処断すべき少年に対し、少年法第五一条を適用しながら、その解釈をあやまり懲役一〇年以上一五年以下の不定期刑を科した判決は、刑訴第四五八条第一号但…
事件番号: 昭和48(さ)3 / 裁判年月日: 昭和48年12月24日 / 結論: 破棄自判
一 刑訴法四五八条一号但書にいう「原判決が被告人のため不利益であるとき」とは、原判決の誤りを是正してあらたに言い渡すべき判決が、原判決より被告人に利益なことが法律上明白である場合をいう。 二 本件におけるように、少年である被告人に対し言い渡された原判決の刑が懲役八月の定期刑であり、あらたに言い渡すべき刑が懲役六月以上八…