一 少年法第五一条にいわゆる「一〇年以上一五年以下において懲役又は禁錮を科する」とは、一〇年から一五年までの間の定期の懲役または禁錮を科するという趣旨である。 二 無期刑をもつて処断すべき少年に対し、少年法第五一条を適用しながら、その解釈をあやまり懲役一〇年以上一五年以下の不定期刑を科した判決は、刑訴第四五八条第一号但書にいわゆる「被告人のため不利益」なものと断定することはできない。
一 少年法第五一条の法意。 二 少年法第五一条の解釈をあやまり不定期刑を科した判決と刑訴第四五八条第一号但書にいわゆる「被告人のため不利益」な判決。
少年法51條,刑訴法458條1号
判旨
少年法51条(現行51条2項)の「10年以上15年以下において懲役又は禁錮を科する」との規定は、その範囲内での定期刑を科す趣旨であり、不定期刑を科すことはできない。
問題の所在(論点)
少年法51条(罪を犯すとき18歳未満の者に対して無期刑をもって処すべきとき、10年以上15年以下の範囲で刑を科す規定)に基づき、裁判所は不定期刑を科すことができるか、それとも定期刑を科すべきか。
規範
少年法51条(現行51条2項)に規定される「10年以上15年以下において懲役又は禁錮を科する」との文言は、10年から15年までの期間内において特定の刑期を定める「定期刑」を科すべきことを定めたものであると解する。
重要事実
被告人(当時18歳未満の少年)は、共謀の上、農業協同組合事務所に侵入して番人に暴行を加え、現金を強奪した。第一審裁判所は、強盗傷人罪(刑法240条前段)を認定し、無期懲役刑を選択した上で、被告人が少年であることを理由に少年法51条を適用し、「懲役10年以上15年以下」に処するとの不定期刑を言い渡した。この判決は確定したが、法令解釈の誤りがあるとして非常上告が提起された。
あてはめ
少年法51条の規定によれば、無期刑を緩和して処断する場合の刑期は「10年以上15年以下」とされている。この規定は、同法52条(現行52条1項)が明示的に不定期刑を認めている場合とは異なり、その範囲内において具体的な刑期を特定すべき「定期刑」の趣旨と解するのが相当である。したがって、本件において「10年以上15年以下」という不定期刑の形式で刑を科した第一審判決は、同条の解釈を誤ったものといえる。
結論
少年法51条(現行51条2項)は定期刑を科す規定であり、不定期刑を科すことは許されない。原判決の法律解釈部分は破棄される。
実務上の射程
少年の法定刑の緩和(少年法51条)と、少年に対する不定期刑(少年法52条)の適用場面を厳格に区別する。無期刑を選択し同法51条により刑を緩和する場合は、必ず「定期刑」を言い渡さなければならない点に注意を要する。
事件番号: 昭和48(さ)3 / 裁判年月日: 昭和48年12月24日 / 結論: 破棄自判
一 刑訴法四五八条一号但書にいう「原判決が被告人のため不利益であるとき」とは、原判決の誤りを是正してあらたに言い渡すべき判決が、原判決より被告人に利益なことが法律上明白である場合をいう。 二 本件におけるように、少年である被告人に対し言い渡された原判決の刑が懲役八月の定期刑であり、あらたに言い渡すべき刑が懲役六月以上八…
事件番号: 昭和26(さ)4 / 裁判年月日: 昭和27年12月11日 / 結論: 破棄自判
一 第一審判決が被告人は昭和六年一一月二六日生であることを認定し昭和二六年一月一〇日の判決宣告当時二〇歳未満であることを明らかにしながら、被告人に対し有期懲役刑をもつて処断するにあたり定期刑を科し、控訴審においてこの点を看過して控訴棄却の判決をした場合は、原判決に少年法第五二条第一項に違反した違法があり、非常上告は理由…