刑訴法第四五八条第一号但書により更になされるべき判決は、原判決の時を標準とするのが相当である。
非常上告における破棄自判の標準時
刑訴法458条
判旨
判決当時少年であった者に対し、無期懲役刑を酌量減軽した上で懲役15年の定期刑を言い渡した原判決は、少年法52条の不定期刑に関する規定に違反する。非常上告において、原判決が更になされるべき判決より被告人のため不利益であることは明白であるとして、破棄自判により不定期刑が言い渡された。
問題の所在(論点)
少年法52条の適用対象となる「少年」の判断基準時、及び無期懲役を減軽して有期刑とする場合に同条が定める不定期刑を科すべきか。また、確定判決が法令に違反し被告人に不利益な場合の救済手段が問題となる。
規範
少年法52条1項及び2項に基づき、少年のとき罪を犯した者に対し、長期3年以上の有期刑をもって処断すべきときは、その刑の範囲内において長期と短期を定めた不定期刑を言い渡さなければならない。無期懲役刑を選択し酌量減軽(刑法68条2号)をした場合であっても、その処断刑は有期懲役となるため、同条の適用により不定期刑を科す必要がある。
重要事実
被告人は昭和14年9月26日生であり、昭和33年1月及び11月の犯行・裁判当時、少年(20歳未満)であった。第1審で無期懲役を宣告されたが、控訴審(原判決)は昭和33年11月27日、量刑不当として破棄自判し、強盗殺人罪について無期懲役を選択した上で酌量減軽を行い、被告人を懲役15年の定期刑に処した。この判決は確定したが、検事総長が法令違反を理由に非常上告を申し立てた。
あてはめ
原判決時において被告人が少年(19歳)であった事実は原判決自体により認定されている。強盗殺人罪について無期懲役を選択し、酌量減軽を行った結果、その処断刑は有期刑となる。したがって、少年法52条を適用し、短期5年以上10年以下の範囲内で不定期刑を言い渡すべき義務がある。しかるに原判決は長期を超え、かつ定期刑である懲役15年を科しており、法令違反は明らかである。この違反は、本来の不定期刑(長期10年以下)に比べ被告人に不利益であることが明白である。
結論
原判決は少年法52条の適用を誤った法令違反がある。刑事訴訟法458条1号に基づき原判決を破棄し、被告人を懲役5年以上10年以下の不定期刑に処する。
実務上の射程
刑事実務における少年法52条の適用の厳格性を示す。特に「判決時」に少年であれば不定期刑の適用があること、および無期刑からの減軽後の有期刑についても不定期刑とする必要がある点を明示した。非常上告において不利益性の判断基準を「原判決の時」とすることも確認されている。
事件番号: 昭和48(さ)3 / 裁判年月日: 昭和48年12月24日 / 結論: 破棄自判
一 刑訴法四五八条一号但書にいう「原判決が被告人のため不利益であるとき」とは、原判決の誤りを是正してあらたに言い渡すべき判決が、原判決より被告人に利益なことが法律上明白である場合をいう。 二 本件におけるように、少年である被告人に対し言い渡された原判決の刑が懲役八月の定期刑であり、あらたに言い渡すべき刑が懲役六月以上八…
事件番号: 昭和24新(そ)1 / 裁判年月日: 昭和27年12月11日 / 結論: その他
一 少年法第五一条にいわゆる「一〇年以上一五年以下において懲役又は禁錮を科する」とは、一〇年から一五年までの間の定期の懲役または禁錮を科するという趣旨である。 二 無期刑をもつて処断すべき少年に対し、少年法第五一条を適用しながら、その解釈をあやまり懲役一〇年以上一五年以下の不定期刑を科した判決は、刑訴第四五八条第一号但…
事件番号: 昭和25(れ)415 / 裁判年月日: 昭和25年6月1日 / 結論: 棄却
少年法第五二條にいわゆる少年とは事實審裁判所の判決時における少年を指すものである。