少年事件につき定期刑宣告による非常上告
刑訴法458条
判旨
20歳に満たない少年に対し、執行猶予を付さずに懲役刑を科す場合は、少年法52条1項に基づき、原則として不定期刑を言い渡さなければならない。
問題の所在(論点)
少年法上の「少年」に対し、刑の執行猶予を付さない懲役刑を科す際、定期刑を言い渡すことは許されるか。少年法52条1項の不定期刑適用の要否が問題となる。
規範
20歳に満たない少年に対して有期の懲役又は禁錮をもって処断すべき場合において、刑の執行猶予を言い渡さないときは、短期と長期を定めた不定期刑を言い渡さなければならない(少年法52条1項)。これは少年の改善更生の可能性に配慮し、弾力的な処遇を可能にする趣旨である。
重要事実
被告人は昭和50年10月10日生まれであり、平成6年4月16日の犯行時及び判決時において20歳に満たない少年であった。被告人は、酒気を帯びた状態で車両を運転し(道路交通法違反)、赤色点滅信号を無視して時速約80キロメートルで交差点に進入。他車と衝突して1名を死亡させ、3名に傷害を負わせた(業務上過失致死傷)。第1審判決は、懲役刑を選択した上で刑の執行猶予を言い渡さず、被告人を「懲役1年2月」の定期刑に処した。
あてはめ
本件被告人は、判決確定時において20歳に満たない少年であることが認定されている。本件各罪について懲役刑を選択し、かつ執行猶予を付さない以上、少年法52条1項の規定が直接適用される。それにもかかわらず、第1審判決が「懲役1年2月」という期間を固定した定期刑を言い渡したことは、同条項に違反する法令の適用誤りがあるといえる。また、新たに言い渡すべき不定期刑(懲役1年以上1年2月以下)は、元の定期刑(懲役1年2月)と比較して、受刑者の更生の度合いにより早期釈放の可能性が生じる点で、被告人にとって利益であることが法律上明白である。
事件番号: 昭和26(さ)4 / 裁判年月日: 昭和27年12月11日 / 結論: 破棄自判
一 第一審判決が被告人は昭和六年一一月二六日生であることを認定し昭和二六年一月一〇日の判決宣告当時二〇歳未満であることを明らかにしながら、被告人に対し有期懲役刑をもつて処断するにあたり定期刑を科し、控訴審においてこの点を看過して控訴棄却の判決をした場合は、原判決に少年法第五二条第一項に違反した違法があり、非常上告は理由…
結論
少年に対して執行猶予を付さない懲役刑を科す場合に定期刑を言い渡すことは、少年法52条1項に違反する。本件定期刑判決は破棄され、懲役1年以上1年2月以下の不定期刑が言い渡されるべきである。
実務上の射程
実務上、被告人が少年である場合の科刑上の留意点を示す射程を持つ。少年法適用の有無は審判時(判決時)を基準とするため、公判中に被告人が成人した場合には不定期刑の適用はなくなる点に注意が必要である(本件は確定判決の誤りを是正する非常上告事件と同様の文脈)。
事件番号: 平成3(さ)1 / 裁判年月日: 平成4年1月24日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】法定刑の上限を超える懲役刑を科した確定判決は、法令に違反し、かつ被告人に不利益であるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は酒気帯び運転を行い、道路交通法119条1項7号の二等に基づき起訴された。第一審(原判決)は、被告人に対して懲役4月(執行猶予3年)を言い渡し、…
事件番号: 昭和36(あ)1015 / 裁判年月日: 昭和36年7月28日 / 結論: 棄却
所論は原審の訴訟手続が少年法第五〇条に違反し違法であることを前提として違憲をいうが、少年法第五〇条は訓示規定であつて、同条の規定に違反するところがあつてもこれを以て違法といえことはできないことは既に当裁判所の判例(昭和二四年(れ)第一二二六号、同年一二月八日第一小法廷判決、集三巻一二号一九一五頁、昭和二五年(れ)第一八…