少年法第五二条にいわゆる少年とは事実審裁判所の判決時における少年を指すものであるところ、刑訴法による控訴審は事後審であるから、控訴を理由ないものと認めて棄却する場合には、第一審判決時を基準として、被告人に少年法第五二条を適用するか否かを決すべきであつて、控訴審の判決時に少年であるか否かを問うべきでないと解するのを相当とする(昭和二六年(あ)第三二五号同二八年一月二七日第三小法廷判決・昭和二八年(あ)第八五七号同二九年六月三〇日第二小法廷決定各参照)。
控訴審において控訴を棄却する場合と少年第五二条の適用の基準時期。
少年法2条1項,少年法52条,刑訴法396条
判旨
少年法52条(現52条1項)にいう「少年」とは、事実審裁判所の判決時における者を指すが、事後審である控訴審が控訴を棄却する場合には、第一審判決時を基準として不定期刑の適用の可否を判断すべきである。
問題の所在(論点)
不定期刑を定める少年法52条(現51条・52条に関連)の適用基準時について、事後審たる控訴審において被告人が成人した場合、第一審判決時と控訴審判決時のいずれを基準とすべきか。
規範
少年法52条にいう「少年」とは、原則として事実審裁判所の判決時における者を指す。しかし、刑事訴訟法上の控訴審は事後審であるから、控訴を理由がないとして棄却する場合には、控訴審判決時ではなく、第一審判決時を基準として同条の不定期刑を適用すべきか否かを決すべきである。
重要事実
被告人が少年であった時に第一審において不定期刑を科された。被告人はこれを不服として控訴したが、控訴審の審理中に被告人が成人(20歳以上)に達した。弁護人は、控訴審判決時に成人となっている以上、不定期刑を維持することは少年法52条の適用を誤るものであり違憲であると主張した。
あてはめ
控訴審は第一審判決の当否を事後的に審査する性質を有する(事後審)。したがって、第一審がその判決時において少年であった被告人に対し不定期刑を科した判断に誤りがない以上、控訴審の審理中に成人したという事後的な事情のみで第一審判決が違法となるわけではない。原審が不定期刑を科した第一審判決を破棄せず控訴を棄却したことは、事後審の構造に照らし相当である。
結論
控訴審判決時に被告人が成人していても、第一審判決時に少年であったならば、控訴を棄却するに際して第一審の不定期刑を維持することは適法である。
実務上の射程
本判決は事後審としての控訴審の性格を強調するものである。第一審判決後に被告人が成人しても、第一審の量刑判断の妥当性を審査する上では第一審当時の属性を基準とする。ただし、第一審判決を破棄して自判する場合には、自判時(控訴審判決時)を基準として成人であれば定期刑を科すべきとされる点(別異の判例法理)との区別に注意が必要である。
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