判旨
控訴審は事後審であるから、不定期刑を科すべきか否かは、第一審判決当時における被告人の年齢を標準として判断すべきであり、その後の年齢経過は第一審判決の違法性に影響しない。
問題の所在(論点)
不定期刑を科すべきか定期刑を科すべきかの判断基準時はいつか。控訴審において、第一審判決後の年齢経過を考慮して第一審の量刑判断の違法性を論じることができるか。
規範
現行刑事訴訟法における控訴審の性質は事後審である。したがって、被告人に対して少年法に基づく不定期刑を科すべきか、あるいは一般の定期刑を科すべきかの判断は、原則として第一審判決当時における被告人の年齢を標準として、当該判決に違法があるか否かを決すべきである。
重要事実
被告人AおよびBは、第一審判決時において少年(20歳未満)であったため、第一審判決は両名に対し不定期刑を言い渡した。その後、被告人側は、上訴中に成年に達したこと等を理由に、不定期刑を科した第一審判決を維持した原判決(控訴審)には違法があり、また被告人に不利益である旨を主張して上告した。
あてはめ
控訴審は事後審としての性質を有するため、第一審判決の当否は、特段の事情がない限りその言渡し時の状況に基づいて判断される。本件において、第一審判決時に被告人が少年であった以上、同判決が不定期刑を選択したことに誤りはない。また、不定期刑が定期刑よりも一概に被告人に不利益であると断ずることもできないため、第一審判決後の事情変化のみを理由に判決を違法とすることはできない。
結論
被告人に定期刑を科すべきか不定期刑を科すべきかは、第一審判決当時の年齢を標準として決すべきであり、不定期刑を維持した原判決に違法はない。
実務上の射程
刑事訴訟法における控訴審が「事後審」であることを示す基本的な判例である。少年法上の不定期刑(少年法52条)の適用可否のみならず、第一審判決後の情状変化を理由に直ちに第一審判決を「違法」と評価できないという事後審構造の原則を論じる際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)3115 / 裁判年月日: 昭和28年1月27日 / 結論: 棄却
新刑訴法による控訴審は事後審であつて、控訴を理由ないものと認めて棄却する場合には、第一審判決時を基準として、被告人に少年法を適用すべきや否やを決すべきものと解するを相当とする。されば第一審判決当時に成人であつた被告人に対し定期刑を科した第一審判決を是認した原判決が、被告人に対して不定期刑を科さなかつたことは正当である。
事件番号: 昭和27(あ)6316 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
控訴審が、第一審判決の量刑不当の主張を理由ありとしてこれを破棄自判するにあたつては、第一審判決の確定した事実に対し法令の適用を示せば足り控訴審として改めて事実を認定するを要しない。
事件番号: 昭和28(あ)2689 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判の迅速(憲法37条1項)を欠いたとしても、それが直ちに判決に影響を及ぼす憲法違反にはならない。また、累犯加重や被告人への訴訟費用負担は、憲法39条や37条2項に反しない。 第1 事案の概要:被告人は第一審判決後、控訴審を経て上告。弁護人は、(1)原審の審理が迅速を欠き憲法37条1項に違反するこ…