量刑の当否を判断するにあたり、犯罪が前刑の執行猶予期間内に犯されたことを情状として考慮することは、違法ではない。
犯罪が前刑の執行猶予期間内に犯されたことを量刑に考慮することの適否
刑訴法381条,刑訴法248条,憲法14条
判旨
量刑において、犯行が前刑の執行猶予期間中に行われたことを犯罪の情状として考慮することは適法であり、法の下の平等を定めた憲法14条にも違反しない。
問題の所在(論点)
量刑の判断において、前刑の執行猶予期間中の犯行であることを「犯罪の情状」として考慮することが許されるか。また、その考慮が憲法14条に抵触するか。
規範
量刑の判断において、被告人が前刑の執行猶予期間内にあるという事実は、犯罪の情状として考慮することが可能である。また、犯情の違いによって科刑に差異が生じることは、憲法14条の法の下の平等に反しない。
重要事実
被告人が前刑の執行猶予期間中に新たな犯罪を犯した事案において、裁判所が量刑の際、執行猶予期間中の犯行であることを情状として考慮し、刑を言い渡した。これに対し弁護人は、当該情状を考慮することは違法であり、また憲法14条に違反する旨を主張して上告した。
あてはめ
事件番号: 昭和24(れ)136 / 裁判年月日: 昭和24年7月2日 / 結論: 棄却
刑の執行猶豫を與えないことが憲法第一四條に違反するものでないことは既に當裁判所の判例(昭和二三年(れ)第七〇號、同年五月二六日大法廷判決)とするところである。
量刑は、犯罪の性質、動機、態様、被告人の性格や経歴等の諸般の事情を総合して決定されるべきものである。前刑の執行猶予期間中に重ねて犯罪を犯したという事実は、被告人の規範意識の欠如や更生の程度の低さを示す重要な情状といえる。したがって、これを量刑上の不利益な事情として考慮することは、刑事裁判における妥当な裁量の範囲内にあると解される。また、このような個別の犯情に基づき科刑に差異が生じることは合理的理由に基づく区別であり、平等原則に反するものではない。
結論
量刑において前刑の執行猶予期間中の犯行であることを情状として考慮することは適法であり、憲法14条にも違反しない。
実務上の射程
量刑上の悪情状(一般情状)を特定する際の根拠として活用できる。特に執行猶予期間中の犯行が、被告人の非難可能性を高める要素であることを論証する際に有用である。
事件番号: 昭和27(あ)73 / 裁判年月日: 昭和28年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑において被告人の前科や執行猶予中である事実を考慮することは、犯情の一事情を斟酌するものにすぎず、法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は暴行罪に問われたが、当該犯行は詐欺、恐喝、傷害による前刑の執行猶予期間中に行われたものであった。原判決は、この執行猶予中で…
事件番号: 昭和27(あ)6469 / 裁判年月日: 昭和28年5月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】犯情の類似した犯人の間で処断刑に差異が生じても、直ちに憲法14条の法の下の平等に反するものではない。また、憲法37条1項にいう公平な裁判所とは、その組織構成において偏頗の恐れのない裁判所を指す。 第1 事案の概要:上告人は、犯情の類似した他の犯人と比較して、自らに科された刑罰が重いこと(量刑の不均…
事件番号: 昭和28(あ)4639 / 裁判年月日: 昭和29年2月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が定める「公平な裁判所」とは、裁判官が被告人と個人的な利害関係を持つ等の不偏不党性を欠く状態にない組織を指し、当事者が主観的に不公平と感じるか否かによって決まるものではない。 第1 事案の概要:被告人が、原判決の量刑が不当であることを理由として、憲法37条1項の保障する「公平な裁判所…
事件番号: 昭和25(あ)1020 / 裁判年月日: 昭和26年2月1日 / 結論: 棄却
一 原審が第一審の量刑を相当であるとして判示して、被告人に刑の執行猶予を言渡さなかつたのは、被告人の本件犯行が原判決に説示するような公務員の犯行として最も忌憚すべき性質のものであり且つその動機が遊女に溺れて遊興費に窮した結果であると認めその犯情決して軽いものではないと思料したからであることは判文に徴したやすく理解されう…