刑の執行猶豫を與えないことが憲法第一四條に違反するものでないことは既に當裁判所の判例(昭和二三年(れ)第七〇號、同年五月二六日大法廷判決)とするところである。
刑の執行を猶豫しない判決と憲法第一四條
刑法25條,憲法14條
判旨
刑の執行猶予を付すか否かは裁判所の自由裁量に属する事項であり、執行猶予を付さないことが憲法14条の法の下の平等に反することはない。
問題の所在(論点)
刑の執行猶予の付与が裁判所の裁量に属するか、および執行猶予を付さないことが憲法14条に違反するか。
規範
刑の執行猶予を言い渡すか否かは裁判所の広範な自由裁量に属する。また、個別の事案において執行猶予を付さない判断がなされたとしても、それが直ちに憲法14条の平等原則に違反することはない。
重要事実
被告人が原判決において実刑判決を受けたことに対し、弁護人が、被告人の情状に鑑みれば実刑を科すことは過酷であり当然に執行猶予を付すべきであると主張。実刑判決が刑の量定において著しく不当であり、憲法14条に違反するとして上告した事案である。
あてはめ
事件番号: 昭和24(れ)779 / 裁判年月日: 昭和24年6月25日 / 結論: 棄却
新刑訴法第四一一條の規定は、上告理由として認められたものではなく、上告裁判所の職權事項として規定せられた趣旨のものと解すべきことは、既に當裁判所の見解とするところである。(昭和二三年(れ)第一五七七號、昭和二四年五月一八日大法廷判決)
本件において、被告人側は情状を理由に執行猶予を付すべきと主張するが、執行猶予の判断は原審の裁量権の範囲内である。量刑不当の主張は、当時の刑事訴訟法応急措置法13条2項の下では適法な上告理由にはならない。さらに、個別の被告人に対し執行猶予を付さないことは、先行する大法廷判決の趣旨に照らし、法の下の平等を定めた憲法14条に抵触するものではないといえる。
結論
本件上告は棄却される。刑の執行猶予の不付与は裁判所の裁量の範囲内であり、憲法14条に違反しない。
実務上の射程
量刑判断および執行猶予の可否が裁判所の裁量事項であることを示す初期の判例。憲法違反(14条)を理由とした量刑不当の主張に対する反論として、裁判所の裁量権を強調する文脈で参照し得る。
事件番号: 昭和26(あ)4721 / 裁判年月日: 昭和28年9月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予を付さないことが憲法13条に違反するとの主張、および犯情による科刑の差異が憲法14条に違反するとの主張は、いずれも上告適法の理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人A、B、Cに対し、下級審において有罪判決(執行猶予なし)が言い渡された。被告人らは、執行猶予を付さないことが憲法13条に…
事件番号: 昭和26(れ)319 / 裁判年月日: 昭和26年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項(現行の刑事訴訟法405条等に相当)に照らし、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が刑事裁判の判決に対し、量刑が不当であることを理由として上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意書の内容を検討したところ、その実質は量刑不当の主…