判旨
執行猶予を付さないことが憲法13条に違反するとの主張、および犯情による科刑の差異が憲法14条に違反するとの主張は、いずれも上告適法の理由には当たらない。
問題の所在(論点)
刑の量定において、執行猶予を付さないことや犯情に応じた科刑の差異を設けることが、憲法13条や憲法14条に違反し、刑訴法405条の上告理由となるか。
規範
特定の被告人に対し執行猶予を付さないこと、または個別の犯情に基づき科刑に差異が生じることは、憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)や憲法14条(法の下の平等)に直ちに違反するものではなく、これらを理由とする憲法違反の主張は、実質的に刑訴法411条の事由を主張するものにすぎず、適法な上告理由とならない。
重要事実
被告人A、B、Cに対し、下級審において有罪判決(執行猶予なし)が言い渡された。被告人らは、執行猶予を付さないことが憲法13条に違反し、また犯情による科刑の差異が憲法14条に違反する旨等を主張して上告した。
あてはめ
被告人Aの主張は憲法違反をいうが、その実質は刑の量定の不当(刑訴法411条該当事由)を主張するに帰する。先例(昭和23年3月24日大法廷判決等)に照らせば、執行猶予の成否や量刑の差異は裁判所の裁量権の範囲内であり、本件においても憲法に違反するような事情は認められない。また、被告人B・Cの訴訟法違反の主張も上告理由に当たらない。
結論
本件各上告を棄却する。量刑上の不服は適法な上告理由に当たらない。
実務上の射程
量刑不当を憲法違反として構成する上告に対し、門前払い的に棄却する実務上の運用を示す。司法試験では「量刑は原則として事実審の専権」であることを前提に、憲法違反を主張する際の実務的限界を確認する資料となる。
事件番号: 昭和24(れ)136 / 裁判年月日: 昭和24年7月2日 / 結論: 棄却
刑の執行猶豫を與えないことが憲法第一四條に違反するものでないことは既に當裁判所の判例(昭和二三年(れ)第七〇號、同年五月二六日大法廷判決)とするところである。
事件番号: 昭和27(あ)5353 / 裁判年月日: 昭和28年7月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意が憲法違反を主張するものであっても、その実質が単なる訴訟法違反や量刑不当の主張に帰する場合には、刑事訴訟法405条の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人A及び被告人Bが、それぞれ弁護人を通じて最高裁判所に上告を申し立てた事案である。弁護人らは上告趣意において「憲法違反」を主張…
事件番号: 昭和26(れ)939 / 裁判年月日: 昭和26年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の量刑不当の主張は刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、また、記録を精査しても同法411条を適用して原判決を破棄すべき顕著な事由は認められない。 第1 事案の概要:被告人が量刑不当を理由として上告を申し立てた事案であるが、提出された上告趣意書の内容は、単に刑の量定が重すぎるという主張にとど…
事件番号: 昭和26(れ)319 / 裁判年月日: 昭和26年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項(現行の刑事訴訟法405条等に相当)に照らし、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が刑事裁判の判決に対し、量刑が不当であることを理由として上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意書の内容を検討したところ、その実質は量刑不当の主…
事件番号: 昭和26(れ)1314 / 裁判年月日: 昭和26年11月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が刑事訴訟法405条に該当せず、かつ同法411条を適用して判決を破棄すべき事由も見当たらないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対して上告を申し立てたが、添付された判決文からは被告人が起訴された具体的な罪名や犯罪事実、および弁護人が主張した上告趣意…