新刑訴法第四一一條の規定は、上告理由として認められたものではなく、上告裁判所の職權事項として規定せられた趣旨のものと解すべきことは、既に當裁判所の見解とするところである。(昭和二三年(れ)第一五七七號、昭和二四年五月一八日大法廷判決)
刑訴法第四一一條の法意
刑訴法411條
判旨
執行猶予の言い渡しは、被告人の犯行の動機や犯状その他諸般の事情を勘案して決定される事実審裁判所の裁量事項である。また、新刑事訴訟法411条の規定は上告裁判所の職権事項を定めたものであり、上告理由として認められたものではない。
問題の所在(論点)
執行猶予の言い渡しが事実審の裁量に属するか、および新刑事訴訟法411条の規定が上告理由として援用可能か。
規範
執行猶予を付すか否かは、被告人の犯行の動機、犯状、その他諸般の事情を総合的に勘案して判断される事実審裁判所の広範な裁量事項である。共犯者が存在する場合であっても、量刑は各犯人ごとに個別に勘案して決定されるべきものである。
重要事実
被告人が共犯者との比較において量刑が不当であること、および執行猶予が付されなかったことを不服として上告した。弁護人は、量刑不当を上告理由として認めない当時の規定の違憲性や、新刑事訴訟法411条に基づく救済を主張したが、原審判決の量刑に特段の不当性は認められなかった。
事件番号: 昭和24(れ)136 / 裁判年月日: 昭和24年7月2日 / 結論: 棄却
刑の執行猶豫を與えないことが憲法第一四條に違反するものでないことは既に當裁判所の判例(昭和二三年(れ)第七〇號、同年五月二六日大法廷判決)とするところである。
あてはめ
執行猶予の適否は、犯行の経緯や被告人の個別的事情を考慮すべき裁量事項である。本件において、原審が被告人に執行猶予を与えなかった判断を記録に照らして検討しても、甚だしく量刑不当とは認められない。また、新刑事訴訟法411条は裁判所の職権行使の根拠であり、当事者が当然に主張できる上告理由ではない。
結論
執行猶予の付与は事実審の裁量事項であり、本件において裁量権の逸脱や著しい量刑不当は認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
量刑不当が直ちに上告理由とならない法制下での判断であるが、執行猶予が事実審の広範な裁量に属するという法理は、現行実務においても裁量権逸脱の有無を論じる際の基礎となる。また、職権破棄事由と上告理由を厳格に区別する姿勢を示す。
事件番号: 昭和26(あ)4721 / 裁判年月日: 昭和28年9月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予を付さないことが憲法13条に違反するとの主張、および犯情による科刑の差異が憲法14条に違反するとの主張は、いずれも上告適法の理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人A、B、Cに対し、下級審において有罪判決(執行猶予なし)が言い渡された。被告人らは、執行猶予を付さないことが憲法13条に…
事件番号: 昭和25(あ)1886 / 裁判年月日: 昭和26年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の量定は事実審の裁量に属する事項であり、これに対する不服申し立ては、刑事訴訟法405条の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、第一審および控訴審の量刑を不服として最高裁判所に上告を提起した事案である。弁護人は、事実審における刑の量定の不当性を主張し、判決の破棄を求めた。 第2 問…
事件番号: 昭和26(れ)939 / 裁判年月日: 昭和26年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の量刑不当の主張は刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、また、記録を精査しても同法411条を適用して原判決を破棄すべき顕著な事由は認められない。 第1 事案の概要:被告人が量刑不当を理由として上告を申し立てた事案であるが、提出された上告趣意書の内容は、単に刑の量定が重すぎるという主張にとど…