判旨
量刑において被告人の前科や執行猶予中である事実を考慮することは、犯情の一事情を斟酌するものにすぎず、法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
裁判所が量刑の判断において、被告人に前科があることや執行猶予期間中であることを斟酌することは、憲法14条1項(法の下の平等)に違反するか。
規範
量刑において犯情その他の諸般の事情(前科の有無や執行猶予期間中であること等)を考慮し、それによって刑の重軽に差異が生じたとしても、それは合理的根拠に基づく区別であり、憲法14条1項には違反しない。
重要事実
被告人は暴行罪に問われたが、当該犯行は詐欺、恐喝、傷害による前刑の執行猶予期間中に行われたものであった。原判決は、この執行猶予中である事実を量刑上の不利益な事情として考慮した第一審判決を維持した。これに対し弁護人は、前科を理由に量刑上不利に扱うことは法の下の平等に反すると主張して上告した。
あてはめ
原判決は、被告人が前科者であることのみをもって一律に重大な差異を設けたのではなく、あくまで当該暴行罪の量刑を決定する際の一事情として、前刑の執行猶予期間中に再犯に及んだという事実を諸般の事実と共に考慮したにすぎない。このような犯情の差異に基づき刑を量定することは、正当な裁量権の範囲内であり、不合理な差別にはあたらない。
結論
被告人の前科や執行猶予中の犯行である事実を量刑に斟酌することは合憲であり、憲法14条1項に違反しない。
実務上の射程
刑事訴訟の実務において、前科や再犯までの期間、執行猶予中であるといった事情は、刑法66条(酌量減軽)や刑法25条(執行猶予)の判断、あるいは一般的情状として当然に考慮の対象となる。本判決は、これらの情状による量刑の差異が法の下の平等に反しないことを確認した基本的判例として位置づけられる。
事件番号: 昭和27(あ)4821 / 裁判年月日: 昭和28年11月17日 / 結論: 棄却
所論は累犯にならない前科を量刑の資料としたことは、憲法一四条の法の下における国民平等の原則に反すると主張するのであるが原判決説示のとおり、詐欺罪の量刑に当り犯行の動機、罪質、態様、回数、騙取した金員の額並びに物品の種類数量その他記録に現われた諸般の情状のほか殊に前科の点を考量の資料とすることはむしろ当然でありまたこれを…