判旨
累犯加重を規定する刑法の各条項は、憲法14条が定める法の下の平等に違反しない。過去の犯罪前科を理由に刑を重くすることは、合理的な根拠に基づく差別として容認される。
問題の所在(論点)
刑法の累犯加重に関する規定が、前科の有無によって刑罰に差異を設ける点において、憲法14条1項(法の下の平等)に違反するか。
規範
憲法14条1項の法の下の平等は、事案の性質に応じた合理的な根拠に基づく差別を許容する。刑事罰の加重規定が、犯罪の反復性や刑事責任の程度を考慮した合理的な目的・手段に基づくものである限り、同条には違反しない。
重要事実
被告人は前科を有していたところ、刑事裁判において刑法56条以下の累犯加重規定が適用された。これに対し、被告人側は、一度処罰された事実を理由に再び不利に扱うことは不合理な差別であり、憲法14条に違反する旨を主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、昭和23年10月6日の大法廷判決を引用し、累犯加重規定が憲法14条に違反しないという判断を維持した。これは、犯罪を反復する者に対して刑事責任の非難の程度や再犯防止の観点から刑を重くすることには合理的な理由があるとの判断に基づくと解される。したがって、本件被告人に対する累犯加重の適用も、憲法に抵触する不当な差別には当たらない。
結論
累犯加重に関する刑法の規定は、憲法14条に違反しない。
実務上の射程
累犯加重規定の合憲性を端的に肯定した判例であり、刑事法上の特別規定が平等原則に反するか否かが争われる際、立法裁量の広範さを示す基準として言及される。答案上は、憲法14条の「合理的区別」の具体例(刑事政策的必要性に基づく区別)として簡潔に引用する。
事件番号: 昭和24(れ)88 / 裁判年月日: 昭和25年1月24日 / 結論: 棄却
一 論旨は、累犯加重の刑を科した判決は憲法第三九條後段の規定に違反するというのであるが、累犯加重の制度が憲法の右規定に違反するものでないことは、當裁判所の判例(昭和二四年(れ)第一二六〇號、同年一二月二一日大法廷判決)の示す通りである。從つて累犯加重の刑を科した本件第一審判決及びこれを維持した原判決には、所論のような意…
事件番号: 昭和52(あ)1323 / 裁判年月日: 昭和52年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】累犯加重を定める刑法56条1項、57条の規定は、法の下の平等を定める憲法14条1項および二重処罰を禁止する憲法39条後段に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、以前に懲役刑に処せられた前科があったが、その執行終了の日から5年以内にさらに罪を犯した。裁判所はこれを刑法56条1項の累犯に当たると判…