新刑訴法による控訴審は事後審であつて、控訴を理由ないものと認めて棄却する場合には、第一審判決時を基準として、被告人に少年法を適用すべきや否やを決すべきものと解するを相当とする。されば第一審判決当時に成人であつた被告人に対し定期刑を科した第一審判決を是認した原判決が、被告人に対して不定期刑を科さなかつたことは正当である。
控訴審において控訴を棄却する場合には如何なる時期を標準として少年法第五二条の適用の適否を判断すべきか
刑訴法396条,刑訴法380条,少年法2条,少年法52条,少年法68条
判旨
控訴審において、被告人が第一審判決時には成人であっても控訴審係属中に少年法の適用対象となった場合、第一審判決時を基準として同法の適用の有無を決すべきである。したがって、第一審の定期刑を是認し不定期刑を科さなかった原判決は正当である。
問題の所在(論点)
第一審判決後に被告人が少年法の適用対象(少年)となった場合、事後審である控訴審において、第一審の定期刑を維持することが許されるか。換言すれば、少年法の適用の基準時はいつか。
規範
現行刑法・刑事訴訟法における控訴審は「事後審」としての性格を有する。したがって、控訴審が第一審判決を理由なしとして棄却する際、少年法(特に不定期刑に関する規定)を適用すべきか否かの判断は、第一審判決時を基準として決すべきである。
重要事実
被告人(昭和6年10月9日生)は、本件第一審判決当時においては少年法68条1項により成人として扱われ、定期刑を言い渡された。しかし、事件が原審(控訴審)に係属中、同条項所定の期間が経過したことにより、原判決当時においては少年法2条所定の「少年」に該当する状態となった。弁護人は、控訴審において不定期刑を科すべきであったと主張して上告した。
あてはめ
本件における控訴審は、第一審判決の量刑の当否を事後的に審査する立場にある。被告人は第一審判決時においては成人であったため、第一審が定期刑を科したことに何ら誤りはない。控訴審係属中に被告人が少年法上の少年に該当することになったとしても、事後審の性質上、第一審判決時点での判断の妥当性を左右するものではない。よって、第一審の判断を正当として控訴を棄却した原判決に法令違反は認められない。
結論
控訴審は事後審であり、少年法適用の有無は第一審判決時を基準とすべきであるため、定期刑を是認した原判決は正当である。
実務上の射程
控訴審の事後審構造を前提とした基準時に関する重要判例である。少年法適用の基準時について、逆転(第一審時に少年、控訴審時に成人)の場合の判例(最大判昭23.7.14等)と併せて、被告人の年齢変化が審級をまたいで生じた際の処理を検討する際の指針となる。
事件番号: 昭和26(あ)2083 / 裁判年月日: 昭和28年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において破棄自判をせず控訴棄却の判決を維持する場合、第一審判決時に被告人が既に少年法の適用年齢を超えていれば、少年法上の手続違反や憲法違反の問題は生じない。 第1 事案の概要:被告人は少年法の施行後、同法68条の経過措置により18歳未満を少年とされていた期間内に犯罪行為に及んだが、第一審判決…