判旨
控訴審において破棄自判をせず控訴棄却の判決を維持する場合、第一審判決時に被告人が既に少年法の適用年齢を超えていれば、少年法上の手続違反や憲法違反の問題は生じない。
問題の所在(論点)
第一審判決時に既に少年法の適用年齢(当時の経過措置による18歳)を超えていた被告人に対し、控訴審が「破棄自判」ではなく「控訴棄却」を選択した場合に、少年法違反や憲法違反の瑕疵が認められるか。
規範
少年法上の適用年齢に関する判断は、原則として判決時を基準とする。控訴審において、原審が第一審の結論を維持し「控訴棄却」の判決を下す場合、第一審判決時点で被告人が適用年齢を超過していれば、実体判決を維持することに法的な違法性は認められない。
重要事実
被告人は少年法の施行後、同法68条の経過措置により18歳未満を少年とされていた期間内に犯罪行為に及んだが、第一審判決時(昭和25年10月12日)には既に18歳を超えていた。原審(控訴審)は、弁護人の主張に対し、控訴趣意を理由がないとして「控訴棄却」の判決を言い渡した。これに対し弁護人は、少年法の適用に関する憲法違反等を理由に上告した。
あてはめ
本件被告人は、第一審判決時点において既に18歳を超えており、当時の少年法68条が定める少年の定義(18歳未満)から外れていた。原審は第一審の判断を妥当として「控訴棄却」の判断を下しており、自ら実体的な判断をやり直す「破棄自判」を行ったわけではない。したがって、第一審時点で既に少年法上の保護対象外となっていた以上、その判断を維持する原判決に少年法上の違法はなく、憲法違反の問題も生じないといえる。
結論
第一審判決時に被告人が適用年齢を超えている以上、控訴棄却の判決に少年法上の違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟において被告人が「少年」に該当するか否かの基準時が問題となる場面で、判決時(特に第一審判決時)を基準とする考え方を補強する。控訴審の形式(控訴棄却か破棄自判か)による手続的影響を検討する際の参考となる。
事件番号: 昭和27(あ)2151 / 裁判年月日: 昭和28年10月16日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】公訴提起時において満18歳を超えている被告人については、旧少年法68条1項の規定により同法の適用から除外されるため、家庭裁判所の送致を経ることなく直ちに地方裁判所へ公訴を提起することは適法である。 第1 事案の概要:被告人は昭和6年3月14日生まれであり、昭和25年12月15日に本件公訴が提起され…
事件番号: 昭和25(さ)38 / 裁判年月日: 昭和26年7月6日 / 結論: 棄却
本件非常上告の理由とするところは、要するに昭和二四年五月二八日倉吉簡易裁判所の言渡した判決において被告人は当時満一八才未満の少年であつたのに拘らず満一八才以上の者と誤認したという事実認定非難を前提として手続違背を主張するものであつて、非常上告の理由とならないものである(昭和二五年(さ)第三九号同二六年一月二三日第三小法…
事件番号: 昭和27(あ)6086 / 裁判年月日: 昭和28年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が第一審の裁判時に既に少年法上の「少年」に該当しない場合には、同法に定める少年のための特則は適用されない。 第1 事案の概要:被告人Cは、犯行時には少年であった可能性があるが(詳細は判決文からは不明)、第一審の裁判が行われた時点においては、既に少年法上の「少年」(20歳未満。当時)には該当し…