被告人は、昭和六年一一月二二日生であつて、本件第一審判決当時には、少年法第六八条第一項により「成人」であつたのであるが、本件が原審に繋属中、同条第一項所定の期間が経過した結果、原判決当時においては、同第二条所定の「少年」となつたことは記録上明白である。新判訴法における控訴審であつても、第一審判決を破棄して自判する場合には、その自判する時期を基準として、被告人に少年法を適用すべきや否やを決すべきものと解するを相当とするのであるから原審が右自判に当つて第一審判決時を基準として、被告人には少年法を適用すべきものでないとして、被告人に対して定期刑を科したのは、法律の解釈を誤つたものといわなければならない。
(上訴審において)破棄自判する場合には如何なる時期を標準として少年法第五二条の適用の有無を決すべきか
少年法2条,少年法68条1項,刑訴法400条,刑訴法413条
判旨
控訴審が第一審判決を破棄して自判する場合、少年法の適用の有無は自判時の年齢を基準として判断すべきである。
問題の所在(論点)
第一審判決を破棄して控訴審が自判を行う場合において、少年法を適用すべきか否かの基準時は、第一審判決時か、それとも控訴審の自判時か。
規範
刑事訴訟法400条但書に基づき控訴審が自判を行う場合、被告人に少年法を適用すべきか否かは、当該自判の時点における年齢を基準として決すべきである。
重要事実
被告人(昭和6年11月22日生)は窃盗罪等の事実で起訴された。第一審判決時、被告人は少年法68条1項(旧法)により「成人」として扱われ定期刑を言い渡された。しかし、控訴審継続中に同条項の適用期間が経過し、少年法2条所定の「少年」に該当するに至った。原審(控訴審)は、量刑不当を理由に第一審判決を破棄し自判したが、少年法の適用については第一審当時を基準とし、不定期刑ではなく定期刑を科した。
あてはめ
新刑事訴訟法における控訴審であっても、第一審判決を破棄して自ら判決(自判)を下す際には、その判決を行う時点の状況に基づき法令を適用するのが相当である。本件において、原審が判決を下した当時には、被告人は記録上明白に少年法上の「少年」に該当していた。それにもかかわらず、原審が第一審判決時を基準として少年法の適用を否定し、定期刑を科したことは、少年法の解釈適用を誤ったものといえる。
結論
原判決を破棄する。被告人が自判時に少年法上の少年に該当する場合、同法52条1項、2項を適用し、不定期刑を言い渡すべきである。
実務上の射程
少年法適用の基準時に関するリーディングケース。事後審としての性格を持つ控訴審であっても、自判をする場合には「判決時」の現況に基づき少年法の適用の有無(特に不定期刑か定期刑か)を判断しなければならないという実務上の鉄則を示している。
事件番号: 昭和26(あ)3065 / 裁判年月日: 昭和26年9月11日 / 結論: 破棄自判
新刑訴法における控訴審であつても第一審判決を破棄して自判する場合には、その自判する時期を基準として被告人に少年法を適用すべきや否やを決すべきものと解すること当裁判所の判例とするところである(昭和二六年(あ)第一二四一号、同年八月一七日第二小法廷判決)から、原判決が右自判に当つて第一審判決時を基準として、被告人には少年法…