新刑訴法における控訴審であつても第一審判決を破棄して自判する場合には、その自判する時期を基準として被告人に少年法を適用すべきや否やを決すべきものと解すること当裁判所の判例とするところである(昭和二六年(あ)第一二四一号、同年八月一七日第二小法廷判決)から、原判決が右自判に当つて第一審判決時を基準として、被告人には少年法を適用すべきものでないとして被告人に定期刑を科し、なお罰金刑につき労役場留置の換刑処分を言渡したのは法令の解釈を誤つたものといわなければならない。
上訴審において破棄自判する場合の少年法適用の基準の時期
少年法2条,少年法52条,刑訴法400条
判旨
控訴審が第一審判決を破棄して自ら判決(自判)を行う場合、被告人に少年法を適用すべきか否かは、第一審判決時ではなく、自判を行う時点を基準として判断すべきである。
問題の所在(論点)
控訴審が第一審判決を破棄して自判する場合において、少年法を適用するか否かの基準時は、第一審判決時か、それとも控訴審の自判時か。
規範
控訴審において第一審判決を破棄して自判する場合には、その自判をする時期を基準として、被告人に少年法を適用すべきか否かを決すべきである。
重要事実
被告人は昭和7年1月13日生まれであり、昭和25年12月1日の第一審判決当時は少年法68条1項により「成人」として扱われていた。しかし、控訴審継続中に同条所定の期間が経過した結果、原判決(控訴審判決)当時である昭和26年4月24日においては、同法2条所定の「少年」に該当する状態となっていた。原審は第一審判決時を基準として少年法の適用を否定し、被告人に対して定期刑を科した。
あてはめ
本件被告人は、控訴審判決(自判)の時点においては少年法2条の「少年」に該当している。新刑事訴訟法下の控訴審であっても、自判を行う以上はその時点の属性に基づいて法を適用すべきである。したがって、被告人が自判時に少年である以上は、少年法を適用し、同法52条に基づく不定期刑を科すべきである。これに対し、第一審判決時を基準として定期刑を科した原判決には、法令の解釈および適用に誤りがあるといえる。
結論
原判決を破棄する。被告人が自判時に少年であることに鑑み、少年法52条を適用して不定期刑(6月以上1年以下の懲役)及び罰金に処する。
実務上の射程
本判決は、刑事訴訟における「基準時」の考え方を示すものである。特に被告人の年齢が少年の境界にある場合、控訴審での自判時にはその時点の年齢に基づき少年法の適用の有無(不定期刑か定期刑か)を判断しなければならない。答案上は、少年法適用の要件である「少年」の判断時期として、事後審的性格を持つ控訴審であっても自判時には現時点の事実を基準とすることを論理づける際に用いる。
事件番号: 昭和26(あ)3115 / 裁判年月日: 昭和28年1月27日 / 結論: 棄却
新刑訴法による控訴審は事後審であつて、控訴を理由ないものと認めて棄却する場合には、第一審判決時を基準として、被告人に少年法を適用すべきや否やを決すべきものと解するを相当とする。されば第一審判決当時に成人であつた被告人に対し定期刑を科した第一審判決を是認した原判決が、被告人に対して不定期刑を科さなかつたことは正当である。