判旨
公訴提起時において満18歳を超えている被告人については、旧少年法68条1項の規定により同法の適用から除外されるため、家庭裁判所の送致を経ることなく直ちに地方裁判所へ公訴を提起することは適法である。
問題の所在(論点)
被告人が公訴提起時に当時の少年法上の少年(満18歳未満)に該当しない場合、家庭裁判所への送致等の少年法上の手続を経ずに、直接地方裁判所に公訴を提起することができるか。公訴提起時を基準とした少年法の適用範囲が問題となる。
規範
被告人が公訴提起の時点において、少年法の適用対象となる「少年」に該当しない年齢(当時の規定では満18歳超)に達している場合には、少年法が定める特則(家庭裁判所への送致手続等)に依拠することなく、通常の刑事訴訟手続に従って公訴を提起することが認められる。
重要事実
被告人は昭和6年3月14日生まれであり、昭和25年12月15日に本件公訴が提起された。原審は被告人の出生年月日を確定しながらも、少年法所定の手続を経ていないとして公訴を不適法と判断し、公訴棄却の判決を下した。これに対し検察官が、公訴提起時において被告人は既に満18歳を超えていたため少年法の適用はないとして上告を申し立てた事案である。
あてはめ
本件被告人は昭和6年3月14日生まれであり、公訴が提起された昭和25年12月15日の時点においては、既に満19歳に達しており、満18歳を超えていた。当時の少年法68条1項によれば、満18歳を超える者については少年法の適用から除外される旨が規定されていた。したがって、検察官が家庭裁判所の送致等の少年法上の手続を経ることなく、直接長崎地方裁判所大村支部に公訴を提起した手続は、法の定めに則った適法なものであるといえる。原審がこれを不適法として棄却したのは、少年法の適用範囲に関する法令の解釈を誤ったものであると解される。
結論
本件公訴提起は適法であり、公訴を棄却した原判決は法令の解釈を誤った違法があるため破棄を免れない。本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
実務上の射程
本判決は、刑事手続における少年法の適用の有無が「公訴提起時」の年齢を基準として判断されることを示したものである。司法試験等の答案においては、犯行時と起訴時で年齢が異なる場合の処理として、現行少年法の年齢区分や審判時説・起訴時説の議論を整理する際、その前提となる判断枠組みとして参照し得る。
事件番号: 昭和26(あ)3115 / 裁判年月日: 昭和28年1月27日 / 結論: 棄却
新刑訴法による控訴審は事後審であつて、控訴を理由ないものと認めて棄却する場合には、第一審判決時を基準として、被告人に少年法を適用すべきや否やを決すべきものと解するを相当とする。されば第一審判決当時に成人であつた被告人に対し定期刑を科した第一審判決を是認した原判決が、被告人に対して不定期刑を科さなかつたことは正当である。
事件番号: 昭和37(あ)2056 / 裁判年月日: 昭和38年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法25条の試験観察中に所在不明となり、成人年齢に切迫した段階で別件で逮捕された少年について、家庭裁判所が移送等の措置をとる余裕がないとして年齢超過を理由に検察官送致決定を行うことは、適法な手続として認められる。また、先行する保護事件について検察官送致決定がなされている以上、公訴提起の無効を主張…