判旨
少年法25条の試験観察中に所在不明となり、成人年齢に切迫した段階で別件で逮捕された少年について、家庭裁判所が移送等の措置をとる余裕がないとして年齢超過を理由に検察官送致決定を行うことは、適法な手続として認められる。また、先行する保護事件について検察官送致決定がなされている以上、公訴提起の無効を主張することはできない。
問題の所在(論点)
少年法上の試験観察中に所在不明となり成人年齢に達しようとする者に対し、併合審判の手続を経ずになされた年齢超過による検察官送致決定の適法性と、それに続く公訴提起の有効性。
規範
少年法に基づく家庭裁判所の決定及び検察官送致の手続が、少年の所在不明や成人年齢への到達といった時間的制約の下で、併合審判等の措置を講ずる余裕がない状況においてなされた場合、その手続的経緯に照らし合理性が認められる限り、当該検察官送致決定及びそれに基づく公訴提起は適法である。
重要事実
少年であった被告人は、恐喝等の事実について少年法25条による試験観察に付されていたが、その後所在をくらまして呼び出しに応じなかった。家庭裁判所が別件の窃盗事実により被告人が逮捕された旨の連絡を受けた際、被告人は成人年齢に切迫しており、身柄や事件の移送による併合審判等の措置をとる時間的余裕がなかった。そのため、家庭裁判所は恐喝等の事実につき、年齢超過を理由とする検察官送致決定を行った。被告人側は、検察官送致決定の不存在(不備)を理由に公訴提起の無効を主張した。
あてはめ
被告人は試験観察中に逃亡し、再確保時には成人年齢に切迫していた。家庭裁判所にとって、別件の窃盗事件と併合して審理するための移送等の措置をとる時間的猶予が物理的に欠如していたといえる。このような特段の事情がある状況下でなされた年齢超過を理由とする逆送決定は、少年法の予定する適正手続に反するものではなく、違法とは認められない。したがって、適法な送致決定が存在する以上、公訴提起の手続に瑕疵はないと解される。
結論
家庭裁判所の検察官送致決定に違法はなく、これに基づく公訴提起を無効とする主張には理由がないため、上告を棄却する。
実務上の射程
少年法上の年齢超過に伴う逆送決定の適法性が争われる場面で活用できる。少年の非協力(逃亡等)により審判の継続が困難となり、成人年齢到達直前に至った場合における、家裁の判断の合理性・裁量を認める基準として引用し得る。
事件番号: 昭和28(あ)2932 / 裁判年月日: 昭和30年9月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意において原審で主張・判断のない事項を主張することは刑事訴訟法405条の上告理由として不適法であり、また少年法にいう「少年」に該当するか否かは起訴当時の基準により判断される。 第1 事案の概要:被告人両名の弁護人が上告を申し立てたが、その趣意は原審において主張も判断もされていない事項であった…
事件番号: 昭和25(さ)33 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 棄却
本件非常上告の理由とするところは、要するに昭和二四年一二月二八日名古屋簡易裁判所が言渡した判決において被告人は当時満一八才未満の少年であつたのに拘らず、満一八才以上の者と誤認したという事実認定非難を前提として手続違背を主張するものであつて、非常上告適法の理由とならないものである(昭和二五年(さ)第三九号同二六年一月二三…
事件番号: 昭和25(さ)38 / 裁判年月日: 昭和26年7月6日 / 結論: 棄却
本件非常上告の理由とするところは、要するに昭和二四年五月二八日倉吉簡易裁判所の言渡した判決において被告人は当時満一八才未満の少年であつたのに拘らず満一八才以上の者と誤認したという事実認定非難を前提として手続違背を主張するものであつて、非常上告の理由とならないものである(昭和二五年(さ)第三九号同二六年一月二三日第三小法…