法定刑超過による非常上告
刑訴法458条
判旨
法定刑の上限を超える懲役刑を科した確定判決は、法令に違反し、かつ被告人に不利益であるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。
問題の所在(論点)
確定判決が法定刑の上限を超えた刑を言い渡していた場合、非常上告の手続きにおいてどのように救済されるべきか。特に法令違反の存否とその是正方法が問題となる。
規範
非常上告において、被告事件につき言い渡された刑が法定刑の範囲を超えている場合、当該判決は「その事件の審判が法令に違反したとき」(刑訴法458条1号)に該当し、かつ被告人にとって不利益なものとして破棄の対象となる。自判する際には、所定の法定刑の範囲内で刑を定め直さなければならない。
重要事実
被告人は酒気帯び運転を行い、道路交通法119条1項7号の二等に基づき起訴された。第一審(原判決)は、被告人に対して懲役4月(執行猶予3年)を言い渡し、同判決は一度確定した。しかし、当時の同条項の懲役刑の法定刑は「3月以下」であり、加重事由がないにもかかわらず上限を超える刑が科されていた。
あてはめ
本件における道路交通法119条1項7号の二の法定刑は3月以下の懲役である。これに対し、原判決は懲役4月を選択しており、加重事由も認められない。したがって、原判決は法定刑の範囲を逸脱した不当な重さの刑を課しており、法令に違反し、かつ被告人の利益を著しく害する事態といえる。
結論
原判決を法令違反として破棄する。改めて被告人を、法定刑の範囲内である懲役3月に処し、3年間の執行猶予を付する。
実務上の射程
法定刑を誤った確定判決に対する非常上告の典型例である。答案上では、刑訴法上の非常上告の要件や判決の既判力の例外を論じる際の具体例として活用できる。特に実体法上の法定刑(処断刑)の遵守が適法な量刑の絶対的条件であることを示す射程を有する。
事件番号: 平成9(さ)3 / 裁判年月日: 平成9年4月14日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】略式命令において法定刑の限度額を超える罰金刑を科したことは、法令に違反し、かつ被告人の不利益になるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は、酒気を帯びた状態で普通乗用自動車を運転した(酒気帯び運転)。標津簡易裁判所は、被告人を罰金7万円に処する旨の略式命令を発付し、…
事件番号: 平成9(さ)2 / 裁判年月日: 平成9年4月14日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】略式命令において法定刑の上限を超える罰金刑を科したことは、法令に違反し、かつ被告人に不利益な裁判であるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は酒気帯び状態で普通乗用自動車を運転した。釧路簡易裁判所は、道路交通法違反(酒気帯び運転)の事実を認定し、被告人を罰金7万円に…
事件番号: 平成9(さ)1 / 裁判年月日: 平成9年4月14日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】酒気帯び運転の法定刑の上限(罰金5万円)を超えて罰金7万円を科した略式命令は、法令に違反し被告人に不利益であるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は平成6年6月28日、呼気1リットルにつき0.25ミリグラム以上のアルコールを保有する状態で普通乗用自動車を運転した。…
事件番号: 平成1(さ)3 / 裁判年月日: 平成元年10月17日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】確定した略式命令において、加重事由がないにもかかわらず法定刑の上限を超える罰金に処したことは、法令に違反し、かつ被告人のため不利益な裁判であるから、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は昭和62年11月5日、酒気を帯びた状態で普通貨物自動車を運転した。これに対し原略式命…