判旨
盗品等の保管を容易にする等の行為によって正犯の実行を援助した場合には、盗品等保管罪の幇助犯が成立する。また、被告人にとって不利益となる方向への罪名変更の主張は、上告理由として採用されない。
問題の所在(論点)
正犯による盗品の保管行為を助長した行為について、盗品等寄蔵幇助罪が成立するか。また、幇助ではなく教唆であるという被告人に不利益な主張を上告理由とすることができるか。
規範
刑法62条1項の幇助犯は、正犯の実行行為を容易にする等の方法により、正犯を援助・促進することを要件とする。また、上告審においては、被告人の利益を保護する観点から、被告人に不利益な主張(より重い罪への変更等)を上告理由とすることはできない。
重要事実
被告人が、盗品等(賍物)の寄蔵(保管)行為について、正犯の実行を容易にするなどの援助を行った。原審はこの事実に基づき、盗品等寄蔵幇助罪(現在の盗品等保管幇助罪)の成立を認めた。これに対し弁護人は、当該行為は幇助ではなく教唆にあたると主張して上告した。
あてはめ
原審が認定した事実に照らせば、被告人の行為は盗品等の保管行為を容易にするものであり、幇助と評価するのが相当である。また、弁護人が主張する「教唆にあたる」との見解は、幇助よりも重い責任を被告人に負わせる可能性(被告人に不利益な主張)を含んでおり、上告理由として失当である。
結論
被告人の行為について盗品等寄蔵幇助罪の成立を認めた原判決は正当であり、本件上告を棄却する。
実務上の射程
共犯の区別(幇助と教唆)に関する実務上の判断を示すとともに、上告審における不利益な主張の禁止を再確認するものである。答案上は、事後従犯的性質を持つ盗品関与罪においても、一般的な共犯理論(幇助)が適用されることを示す際に参照しうる。
事件番号: 昭和27(あ)5440 / 裁判年月日: 昭和28年3月6日 / 結論: その他
犯行の用に供するため器具類を貸与して窃盗を幇助した者がその盗賍を寄蔵した場合においては、正犯者間における賍物の分配寄蔵と異なり、窃盗幇助と賍物寄蔵の二罪が成立するものと解するのを相当とする。
事件番号: 昭和26(れ)2444 / 裁判年月日: 昭和27年4月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】窃盗罪を教唆した者が、後に当該窃盗犯人からその盗品を預かり寄蔵した場合には、賍物寄蔵罪は窃盗教唆罪に吸収されず、両罪の併合罪が成立する。 第1 事案の概要:被告人は、他人に窃盗を教唆して窃盗を実行させた後、当該実行行為によって得られた盗品(賍物)を寄蔵したとして、窃盗教唆罪および賍物寄蔵罪(現行法…
事件番号: 昭和27(あ)6332 / 裁判年月日: 昭和29年6月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品等運搬教唆罪は、本犯である窃盗罪の既遂後に、被教唆者が盗品等の運搬罪を実行することによって成立する。本犯の成立と被教唆者の実行行為があれば、教唆者について同罪の成立が認められる。 第1 事案の概要:被告人は、本犯による窃盗罪が既に成立した後に、被教唆者に対して当該盗品の運搬を教唆した。その後、…
事件番号: 昭和26(あ)98 / 裁判年月日: 昭和27年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品等寄蔵罪と盗品等運搬罪の関係につき、各行為が全然別個独立の犯意の発現に基づくものである場合には、併合罪(刑法45条前段)が成立する。 第1 事案の概要:被告人が盗品等の寄蔵および運搬を行った事案において、原判決は、寄蔵行為と運搬行為が全然別個独立の犯意の発現に基づくものであると認定した。これに…