判旨
盗品等運搬教唆罪は、本犯である窃盗罪の既遂後に、被教唆者が盗品等の運搬罪を実行することによって成立する。本犯の成立と被教唆者の実行行為があれば、教唆者について同罪の成立が認められる。
問題の所在(論点)
本犯たる窃盗罪の既遂後に盗品等の運搬を教唆した場合において、盗品等運搬教唆罪が成立するための要件および時期が問題となる。
規範
盗品等運搬教唆罪(刑法256条2項、61条1項)の成立には、前提として本犯(窃盗罪等)が既遂に達していることを要し、かつ、教唆を受けた者(被教唆者)において盗品等運搬罪が成立することが必要である。
重要事実
被告人は、本犯による窃盗罪が既に成立した後に、被教唆者に対して当該盗品の運搬を教唆した。その後、被教唆者において盗品運搬罪が成立するに至ったが、被告人の教唆行為がどの時点で罪を構成するかが争点となった(具体的な日次や物品等の詳細は判決文からは不明)。
あてはめ
本件では、まず本犯である窃盗罪が既に成立していることが確認される。その上で、被告人が被教唆者に対して運搬を働きかけ、実際に被教唆者が盗品運搬罪を構成する行為に及んでいる。教唆犯の従属性に照らせば、正犯たる被教唆者に実行の着手(および既遂)が認められる以上、被告人には教唆罪が成立すると解される。
結論
本犯たる窃盗罪の成立後、被教唆者に対し盗品運搬罪が成立したときに、盗品等運搬教唆罪が成立する。
実務上の射程
本決定は、盗品等罪が「本犯の既遂後」に成立する後続犯罪であることを前提とし、教唆犯の成立時期を明確にしている。答案上は、盗品等関与罪の事後代替性や共犯の処罰根拠(惹起説)を説明する際の補強として利用できるが、決定文自体が極めて簡潔なため、あてはめでは本犯の既遂時期と教唆行為の前後関係を具体的に摘示することが求められる。
事件番号: 昭和26(あ)1580 / 裁判年月日: 昭和27年7月10日 / 結論: 棄却
窃盗の被害者から賍物の回復を依頼されて、これを被害者宅に運搬返還したとしても、結局窃盗犯人に協力してその利益のために賍物の返還を条件に被害者をして多額の金員を交付せしめる等賍物の正常なる回復を困難ならしめた場合には賍物運搬罪が成立する。
事件番号: 昭和26(れ)2432 / 裁判年月日: 昭和27年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品を買い受ける目的で、当該盗品を自ら運搬した行為について、盗品等運搬罪(刑法256条2項)の成立を認めた原判決を維持した。 第1 事案の概要:被告人Aは、被告人Bから盗品を買い受けるために、当該盗品を自ら運搬した。弁護人は、買受けの手段として行われた運搬は独立した運搬罪を構成しない旨を主張して上…
事件番号: 昭和26(あ)97 / 裁判年月日: 昭和27年9月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品等の保管を容易にする等の行為によって正犯の実行を援助した場合には、盗品等保管罪の幇助犯が成立する。また、被告人にとって不利益となる方向への罪名変更の主張は、上告理由として採用されない。 第1 事案の概要:被告人が、盗品等(賍物)の寄蔵(保管)行為について、正犯の実行を容易にするなどの援助を行っ…