判旨
刑法施行法3条3項が適用されるべき事案において、判決文中に同条項の適用を明示しなかったとしても、当然に判決破棄の事由とはならない。
問題の所在(論点)
刑法施行法3条3項を適用すべき事案において、判決文中にその旨の適用の明示を欠くことが、刑事訴訟法411条等の判決破棄事由に該当するか。
規範
刑法施行法3条3項(新旧刑法の適用関係に関する規定)を適用すべき場合であっても、裁判所が判決において同条項の適用を明示的に示さなかったことが、直ちに判決の破棄を要する法令違反には当たらない。
重要事実
被告人が刑事事件について上告した際、弁護人は単なる法令違反を主張したが、原審判決において刑法施行法3条3項の適用が明示されていなかった点について、判決破棄の事由になるかどうかが争点となった(具体的な犯罪事実の詳細は判決文からは不明)。
あてはめ
最高裁判所は、昭和24年12月15日の先例を引用し、本件のような事案において刑法施行法3条3項の適用を明示しなかったとしても、判決破棄の事由とはならないとの判断を示した。本件記録を調査しても、職権で判決を破棄すべき(刑訴法411条適用)事由は認められないと判断された。
結論
刑法施行法3条3項の適用の明示を欠くことは判決破棄事由とならず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
新旧刑法の適用関係など、法形式的な適用条文の記載漏れがあったとしても、実体的な結論に影響を及ぼさない限り、上告審での職権破棄事由にはならないという裁判所の実務的運用を示すものである。答案上は、判決の形式的瑕疵と破棄事由の関連性を論じる際の補助的な根拠として参照し得る。
事件番号: 昭和24(れ)1893 / 裁判年月日: 昭和24年12月15日 / 結論: 棄却
併科刑又は選擇刑の定めある場合にその法廷刑の輕重を比照するにあたり、刑法施工法第三條第三項の規定のごときは、特にその適用を明示しなくとも判決破棄の理由となるものでない。
事件番号: 昭和26(あ)5272 / 裁判年月日: 昭和28年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として判例違反を主張する場合には、違反とされる判例を具体的に明示する必要があり、これを欠く主張は不適法である。また、刑の軽重の比較に誤りがあったとしても、それが判決に影響を及ぼさない場合には、原判決を破棄する理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対し、判例違反および量刑不当…
事件番号: 昭和25(れ)1587 / 裁判年月日: 昭和26年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下における上告において、被告人の主張が単なる事実誤認及び量刑不当に帰する場合、当時の特別法(刑訴応急措置法)に基づき、適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が原審の判断に対して不服を申し立て、上告を提起した。しかし、その主張の内容は、原判決の認定した事実が誤っていると…
事件番号: 昭和25(れ)444 / 裁判年月日: 昭和25年8月9日 / 結論: 棄却
一 統制額の超過販賣に關する物價統制令違反の罪は統制額を超えて賣買すれば成立するものであるから、原判示のように、被告人が統制額を超えて判示玄米又は白米を販賣した事實を判示すれば十分であつて、必らずしも所論のように超過額の幾何であるかまで明示する必要のないことは、既に當裁判所の判例(昭和二四年(れ)第一七〇號、昭和二四年…
事件番号: 昭和26(れ)973 / 裁判年月日: 昭和26年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認や量刑不当の主張は、刑事訴訟法上の適法な上告理由に当たらない。また、職権による判決破棄事由が認められない限り、上告は棄却されるべきである。 第1 事案の概要:被告人Aおよび弁護人は、第一審・控訴審の判断に対し、事実誤認および量刑不当を理由として上告を申し立てた。弁護人は憲法違反も主張してい…