併科刑又は選擇刑の定めある場合にその法廷刑の輕重を比照するにあたり、刑法施工法第三條第三項の規定のごときは、特にその適用を明示しなくとも判決破棄の理由となるものでない。
刑法施工法第三條第三項の適用を明示していないと判決と破棄の理由
刑法施工法3條3項,刑法9條,刑法10條
判旨
刑法施行法3条3項の規定(新法による刑の軽減)は、判決においてその適用を特に明示しなくとも、それ自体が当然に判決破棄の理由となるものではない。
問題の所在(論点)
刑法施行法3条3項の規定の適用について、判決においてその旨を明示しなかったことが、直ちに判決の破棄事由に該当するか。
規範
刑法施行法3条3項の規定など、法の施行に伴う経過措置や刑の軽重に関する規定の適用については、判決においてその適用を明示的に示さなかったとしても、直ちに判決を破棄すべき理由とはならない。
重要事実
被告人が上告した事案において、弁護人は刑法施行法3条3項(新旧刑法の比較による軽微な刑の適用等に関する規定と推認される)の適用が判決に明示されていないことを理由として、原判決の破棄を求めて上告した。
あてはめ
事件番号: 昭和26(あ)927 / 裁判年月日: 昭和27年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法施行法3条3項が適用されるべき事案において、判決文中に同条項の適用を明示しなかったとしても、当然に判決破棄の事由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件について上告した際、弁護人は単なる法令違反を主張したが、原審判決において刑法施行法3条3項の適用が明示されていなかった点について、判…
判旨は、所論の規定(刑法施行法3条3項)が、判決において適用を明示しなければならない性質のものではなく、その欠如が当然に破棄理由を構成するものではないと判断した。これは、実体法上の有利な規定が実質的に反映されていれば足り、形式的な明示の有無が直ちに違法をもたらすものではないという趣旨と解される。
結論
刑法施行法3条3項の適用が明示されていなくても、判決破棄の理由とはならないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
判決書の記載事項として、経過措置の適用や刑の軽重の判断において、全ての条項を微細に明示しなかったとしても、実質的な判断に誤りがなければ適法とされる限界を示している。答案上は、判決の理由不備や法条適用の誤りが主張された際、形式的な不備に留まるのか、実質的な判断の誤りを含むのかを区別する際の根拠となり得る。
事件番号: 昭和25(れ)444 / 裁判年月日: 昭和25年8月9日 / 結論: 棄却
一 統制額の超過販賣に關する物價統制令違反の罪は統制額を超えて賣買すれば成立するものであるから、原判示のように、被告人が統制額を超えて判示玄米又は白米を販賣した事實を判示すれば十分であつて、必らずしも所論のように超過額の幾何であるかまで明示する必要のないことは、既に當裁判所の判例(昭和二四年(れ)第一七〇號、昭和二四年…
事件番号: 昭和25(れ)1587 / 裁判年月日: 昭和26年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下における上告において、被告人の主張が単なる事実誤認及び量刑不当に帰する場合、当時の特別法(刑訴応急措置法)に基づき、適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が原審の判断に対して不服を申し立て、上告を提起した。しかし、その主張の内容は、原判決の認定した事実が誤っていると…
事件番号: 昭和26(れ)23 / 裁判年月日: 昭和26年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告趣意が単なる量刑不当の主張に帰する場合、それは刑法訴訟法上の適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、原判決の量刑が不当であることを理由として最高裁判所に上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):被告人が主張する「量刑不当」が、上告審における適法な上告理…
事件番号: 昭和26(あ)5272 / 裁判年月日: 昭和28年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として判例違反を主張する場合には、違反とされる判例を具体的に明示する必要があり、これを欠く主張は不適法である。また、刑の軽重の比較に誤りがあったとしても、それが判決に影響を及ぼさない場合には、原判決を破棄する理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対し、判例違反および量刑不当…