判旨
上告理由として判例違反を主張する場合には、違反とされる判例を具体的に明示する必要があり、これを欠く主張は不適法である。また、刑の軽重の比較に誤りがあったとしても、それが判決に影響を及ぼさない場合には、原判決を破棄する理由とはならない。
問題の所在(論点)
上告理由としての判例違反の主張において判例の具体的明示が必要か。また、刑の軽重の比較に誤りがある場合、直ちに判決の破棄事由となるか。
規範
刑事訴訟法における上告理由として判例違反を主張する際には、対象となる判例を具体的に特定し明示することを要する。また、訴訟手続や法令適用の誤りが判決に影響を及ぼさない程度のものである場合には、原判決の破棄事由にはならない。
重要事実
被告人が原判決に対し、判例違反および量刑不当を理由として上告を申し立てた。しかし、弁護人が主張する判例違反の論旨においては、具体的にいかなる判例に違反するのかが明示されていなかった。また、原判決における刑の軽重の比較に関する誤りの存否が争点となった。
あてはめ
本件において弁護人は判例違反を主張するが、違反とされる判例が具体的に明示されていないため、上告理由として不適法であるといえる。また、仮に原判決において刑の軽重の比較に誤りがあったとしても、その誤りが判決の結論に影響を与えない性質のものであるならば、上告によって原判決を破棄すべき正当な理由には当たらないと解される。
結論
本件上告は棄却される。判例の明示がない判例違反の主張は不適法であり、判決に影響しない誤りは破棄事由とならない。
実務上の射程
刑事訴訟における上告趣意書の作成において、判例違反を理由とする場合の具体的特定義務を確認する際に用いる。また、判決に影響を及ぼさない瑕疵(無害な誤り)が破棄事由とならないという一般原則の確認にも資する。
事件番号: 昭和26(れ)23 / 裁判年月日: 昭和26年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告趣意が単なる量刑不当の主張に帰する場合、それは刑法訴訟法上の適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、原判決の量刑が不当であることを理由として最高裁判所に上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):被告人が主張する「量刑不当」が、上告審における適法な上告理…
事件番号: 昭和26(れ)1174 / 裁判年月日: 昭和26年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、上告適法の理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人が犯した罪の量刑が重すぎるとして、弁護人が上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):量刑不当の主張が、法的に適法な上告理由として認められるか。 第3 規範:上告審において量…
事件番号: 昭和26(れ)973 / 裁判年月日: 昭和26年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認や量刑不当の主張は、刑事訴訟法上の適法な上告理由に当たらない。また、職権による判決破棄事由が認められない限り、上告は棄却されるべきである。 第1 事案の概要:被告人Aおよび弁護人は、第一審・控訴審の判断に対し、事実誤認および量刑不当を理由として上告を申し立てた。弁護人は憲法違反も主張してい…
事件番号: 昭和25(れ)1587 / 裁判年月日: 昭和26年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下における上告において、被告人の主張が単なる事実誤認及び量刑不当に帰する場合、当時の特別法(刑訴応急措置法)に基づき、適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が原審の判断に対して不服を申し立て、上告を提起した。しかし、その主張の内容は、原判決の認定した事実が誤っていると…
事件番号: 昭和26(れ)414 / 裁判年月日: 昭和26年5月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が刑事訴訟法405条に該当せず、かつ同法411条を適用して判決を破棄すべき顕著な事由も認められない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対し、弁護人を通じて上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意書に基づき、上告審が原判決の妥当性および上告理由の有無を…