酒税法一四条と同一六条の違反は、いずれも同六〇条の罰条によつて処断されるのであるから、この適条の誤は、原判決に影響がない。
適条の誤が原判決に影響を及ぼさない一事例
酒税法14条,酒税法16条,酒税法60条,刑訴法411条
判旨
酒税法14条および16条違反の各罪が同一の罰則規定によって処断される場合、一方の条項の適用に関する誤りがあっても、直ちに判決に影響を及ぼす違法とはならない。
問題の所在(論点)
酒税法14条違反と16条違反の区別に関し、原判決の法令適用に誤りがある場合、それが刑訴法411条等の上告理由となる「判決に影響を及ぼすべき法令の違反」に該当するか。
規範
複数の法令違反が主張される場合であっても、それらの違反行為がいずれも同一の罰条(処罰規定)によって処断されるものであるときは、個別の条項の適用に関する錯誤や違法は、判決の結論に直接の影響を及ぼさない限り、上告理由となる原判決の違法には当たらない。
重要事実
被告人は酒税法違反の罪に問われ、一審・二審で有罪判決を受けた。弁護人は、酒税法14条(販売業の免許等)と16条(製造業の免許等)の適用に関し、憲法違反や判決に影響を及ぼすべき法令違反があるとして上告した。
あてはめ
本件において、酒税法14条違反と16条違反は、いずれも同法60条の罰条によって処断されることが予定されている。したがって、仮に所論が指摘するように14条の適用に関し何らかの不備があったとしても、同一の刑罰が科される以上、実質的に被告人の不利益となるような「原判決に影響を及ぼす」違反とは認められない。また、記録を精査しても、職権で破棄すべき刑訴法411条の事由は見当たらない。
結論
本件上告は棄却される。同一の罰則規定が適用される範囲内での条項適用の差異は、判決の結論に影響を与えないため、適法な上告理由とはならない。
実務上の射程
判決文が極めて簡潔な事案であるが、実務上は「罰条が同一であれば、個別の構成要件の認定に細かな差異があっても被告人の不利益(量刑等)に直結しない限り、判決に影響を及ぼす違法とはなりにくい」という判断枠組みを示す際に参照しうる。
事件番号: 昭和25(あ)2638 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人に不利益な法令違反の主張は、刑訴法405条所定の上告理由に当たらない。また、併合罪とすべきものを包括一罪として処断したことは、被告人の利益になるものであり、刑訴法411条を適用して職権で破棄すべき事由にも該当しない。 第1 事案の概要:被告人が犯した罪について、第一審判決は包括一罪として処断…