判旨
食糧管理法違反等の罪における「営業の目的」の有無は、反復累行して米を売買し、それによって利益を得ていたという客観的事実に基づき認定することができる。
問題の所在(論点)
食糧管理法違反等の処罰要件となり得る「営業の目的」が認められるための要件、およびその認定手法が問題となった。
規範
「営業の目的」をもって行為したといえるか否かは、当該行為が反復継続して行われ、かつそれによって利益を得る意図(営利性)が認められるかという客観的な実施状況および主観的意図に基づき判断する。
重要事実
被告人は、当時の食糧管理法等の規制に反して米の売買を行っていた。第一審および原審において、被告人は単発的な取引ではなく、反復累行して米を売買しており、かつその取引を通じて利益を得ていたという事実が認定された。被告人側は「営業の目的」の認定に違法があると主張して上告した。
あてはめ
本件において被告人は、一度限りの取引ではなく反復累行して米の売買を行っている。また、当該売買は慈善活動や自己消費目的ではなく、利益を得ることを目的として行われたものである。このように、反復性と営利性の双方が認められる行為態様であれば、その行為自体から「営業の目的」をもって犯行に及んだものと認定するのが相当である。
結論
被告人が反復累行して米を売買し利益を得ていたという事実がある以上、「営業の目的」があったと認定した原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
行政刑法や特別法における「営業」の意義を確認する判例である。現行法下でも、無許可営業や無届営業の罪において「反復継続性」と「営利性」を認定する際の基礎的な判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)4896 / 裁判年月日: 昭和27年12月19日 / 結論: 棄却
食糧管理法第九条にいう譲渡その他の処分の中には、売買をも含むものと解するのが相当である。従つて、同法第九条は、政府が本件の如き主要食糧の買受行為を禁圧するため必要な命令をなすことを得る趣旨をも包含するものと解すべきは勿論である。