判旨
食糧管理法等の規制に基づき、法定の除外事由がない限り、米麦等をその生産者から買い受ける行為は、同法違反の罪を構成する。
問題の所在(論点)
食糧管理法に基づき、法定の除外事由がない状況で生産者から米麦等を買い受けた場合に、同法違反の罪が成立するか。
規範
食糧管理制度の下では、法定の除外事由(自己消費や正当な割当等)が存在しない限り、米麦等の主要食糧を生産者から直接買い受ける行為は、同法の禁止する不正取引に該当し、犯罪が成立する。ここでの「生産者」とは、当該作物を現に耕作・収穫した者を指すと解される。
重要事実
被告人が、法定の除外事由がないにもかかわらず、米麦等の主要食糧をその生産者から買い受けたとして、食糧管理法違反で起訴された事案。被告人側は憲法違反等を主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人は米麦等をその生産者から買い受けている。当該取引には法定の除外事由が存在しないため、食糧管理法が意図する公的管理を逸脱する取引であると評価される。判例の解釈に従えば、生産者からの買受けという客観的事実が存在する以上、同法違反の罪を構成する要件を充足しているといえる。
結論
被告人の行為は食糧管理法違反の罪を構成するため、有罪とした原判決は正当であり、本件上告は棄却される。
実務上の射程
現在は食糧管理法が廃止され、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(食糧法)に移行しているが、行政上の届出や規制に服する物資の取引において、法律が定める適法な流通経路以外での取得が処罰対象となる枠組みを理解する上での先例となる。もっとも、本判決自体は極めて簡潔な決定であり、現在の司法試験においてそのまま正面から問われる可能性は低い。
事件番号: 昭和27(あ)512 / 裁判年月日: 昭和28年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】食糧管理法等の規制下において、米の生産者が保有米の範囲内で加工を他人に委託し、そのために輸送を行うことが適法となる場合があるとしても、法定の除外事由がない限り、当該規制に違反する行為は違法性を阻却しない。 第1 事案の概要:被告人両名は、当時の食糧管理法等の規制に違反して米の加工・輸送に関わる行為…