判旨
食糧管理法による主要食糧の譲渡制限は憲法25条に違反せず、所有権の取得経緯を問わず全ての所有者に対して一律に適用される。
問題の所在(論点)
食糧管理法による主要食糧の譲渡制限が憲法25条に違反するか。また、特定の経緯で取得した主要食糧の所有権についても、同法に基づく譲渡の自由の制限が及ぶか。
規範
食糧管理法による統制(主要食糧の譲渡制限)は憲法25条に違反しない。また、同法施行令に基づく譲渡制限は、主要食糧の全ての所有者に対して一律に適用され、所有権取得の個別的経緯によってその適用が免除されるものではない。
重要事実
被告会社が精白丸麦を取得したが、これが食糧管理法施行令8条による譲渡制限の対象となるかが争われた。被告側は、当該物件の取得経緯を理由に、譲渡制限の対象外である旨を主張した。
あてはめ
食糧管理法が憲法25条に違反しないことは、既に大法廷判決(昭和23年9月29日)が示す通りである。また、食糧管理法施行令8条の規定は、主要食糧の全ての所有者に対し、その譲渡の自由を制限するものである。したがって、本件精白丸麦について被告会社がどのような経緯で所有権を取得したとしても、当該統制の対象に含まれると解される。
結論
食糧管理法は憲法25条に違反せず、本件精白丸麦の譲渡制限も有効である。したがって、被告会社による譲渡の自由の主張は認められない。
実務上の射程
生存権(憲法25条)に基づく国の立法裁量と、公共の福祉による財産権・取引の自由の制限を認めた初期判例の一つ。行政法規による経済統制が全所有者に及ぶという包括的適用性を裏付ける際に参照し得る。
事件番号: 昭和28(あ)270 / 裁判年月日: 昭和28年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】食糧管理法による食糧の配給・統制は、国民の生存権を保障するための合憲な措置であり、憲法25条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBが、食糧管理法違反の罪に問われた事案。被告人側は、同法による食糧の強制的な買い上げや配給制の維持、自由な取引の禁止が、国民の生存権を保障する憲法25条に違反…