判旨
食糧管理法施行規則により、生産者が政府以外の者に米麦等を売り渡すことは、農林大臣の指定や都道府県知事の許可がある場合を除き禁止されており、これに違反した者は食糧管理法31条により処罰される。
問題の所在(論点)
食糧管理法施行規則21条の売渡制限規定に違反する行為が、食糧管理法31条に基づく刑罰の対象となるか。
規範
食糧管理法及び同法施行規則に基づき、生産者がその生産した米麦等を政府以外の者に売り渡す行為は、原則として禁止される。例外として認められるのは、①農林大臣が指定する場合、または②特別の事情により都道府県知事の許可を受けた場合に限られる。これに違反する販売行為は、食糧管理法上の罰則(同法31条)の適用対象となる。
重要事実
被告人等は、食糧管理法施行規則21条(旧7条)に違反し、政府以外の者に生産した米麦等を売り渡した。弁護人はこれを不服として上告したが、農林大臣の指定や都道府県知事の許可といった例外的事由が存在した事実は示されていない。原判決はこれらの事実に対し食糧管理法31条を適用し、処罰を肯定した。
あてはめ
本件における被告人等の行為は、政府以外の者に米麦等を売り渡したものであり、施行規則21条が定める「政府以外の者に売り渡してはならない」という禁止規定に直接抵触する。同条の但書が定める農林大臣の指定や知事の許可といった除外事由に該当しない限り、同禁止規定の違反は明白である。したがって、形式的に同条に違反する以上、罰則規定である食糧管理法31条の適用を免れることはできないと評価される。
結論
被告人等の行為は食糧管理法施行規則21条に違反するため、食糧管理法31条により処罰される。上告は棄却される。
実務上の射程
行政法規の委任に基づく施行規則の禁止規定が、法律本体の罰則規定と結びついて処罰の根拠となることを確認した事例である。本判決自体は簡潔な決定であるが、生存権や取引の自由との関連で争われた「食糧管理法違反事件(最大判昭23.9.29)」等のリーディングケースの帰結を実務的に再確認するものといえる。
事件番号: 昭和26(あ)3287 / 裁判年月日: 昭和28年2月24日 / 結論: 棄却
主要食糧を違法に買受けた者がこれを違法に輸送した場合といえども、その輸送の罪(食糧管理法九条、三一条、同法施行令一一条、同法施行規則二九条一項の罪)が成立することもちろんである。