判旨
昭和22年勅令第1号15条1項にいう「政治上の活動」とは、現実の政治に直接又は間接の影響を及ぼすものと認められるような行動を指す。また、憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、裁判所の組織や構成において偏頗の恐れがないことを意味する。
問題の所在(論点)
1. 昭和22年勅令第1号15条1項にいう「政治上の活動」の範囲(直接的なものに限定されるか)。 2. 憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」の意義。
規範
「政治上の活動」とは、原則として現実の政治に影響を与えると認められるような行動を指し、これには直接の影響のみならず、間接に影響を及ぼすものと認められるような行動も含まれる。また、憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、裁判所の組織や構成等において、偏頗の恐れがない裁判所を指す。
重要事実
被告人が昭和22年勅令第1号(公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令)15条1項に違反する「政治上の活動」を行ったとして起訴された事案。弁護人は、当該活動が政治に「直接の影響」を及ぼすものではないため同条の活動に該当しないと主張し、また原判決が被告人の公平な裁判を受ける権利を侵害しており憲法37条に違反すると主張して上告した。なお、具体的な活動内容の詳細は判決文からは不明である。
あてはめ
1. 弁護人は、判例が「現実の政治に影響を与える」とするのは「直接の影響」を指すと主張するが、判例の趣旨は直接・間接を問わず影響を及ぼす行動を指すものである。したがって、本件活動が直接的影響に限定されない以上、原審が「政治上の活動」に該当するとした判断に誤りはない。 2. 弁護人は公平な裁判を受ける権利の侵害を主張するが、その実質は単なる訴訟法違反の主張にすぎない。憲法37条がいう「公平な裁判所」とは組織・構成上の偏頗のなさを指すところ、本件において裁判所の組織構成等に問題があるとは認められない。
結論
1. 「政治上の活動」には直接・間接を問わず政治に影響を及ぼす行動が含まれるため、上告は理由がない。 2. 憲法37条違反の主張は、裁判所の組織構成に関する問題ではないため、上告理由に該当しない。
事件番号: 昭和26(あ)2230 / 裁判年月日: 昭和26年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和22年勅令第1号15条にいう「政治上の活動」は、目的犯のように政治的目的ないし政治的意図を要件とするものではない。政府等の施策活動に関する論議であり、現実の政治に影響を与える行動であれば、主観的な目的の有無にかかわらず同条の活動に該当する。 第1 事案の概要:被告人が行った論議が、昭和22年勅…
実務上の射程
行政上の規制や公務員の行為制限における「政治的活動」の解釈指針として、直接的影響に限定せず間接的な影響力も含めて検討すべき際の論拠となる。また、憲法37条1項の「公平な裁判所」の意義については、個別の裁判官の忌避等の問題ではなく、裁判所の制度的・組織的な中立性を指すものとして定義する際に活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)84 / 裁判年月日: 昭和25年2月21日 / 結論: 棄却
原判決が昭和二二年勅令第一號第一五条にいう「政治上の活動」の意義について、最高裁判所の判例に示された解釈に從つて被告人の行為を判断しているときは、たとえ判例の適用あやまつたとしても刑訴法第四〇五条第二號にいわゆる「判例と相反する判断をした」ということはできない。
事件番号: 昭和26(あ)761 / 裁判年月日: 昭和26年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙運動とは、特定の選挙につき、特定の候補者の当選を目的として、投票を得または得させるために直接または間接に有利な影響を与える行為をいう。本件では、被告人の行為が当該定義に該当し、公職選挙法等による制限の対象となることが示された。 第1 事案の概要:被告人は、昭和22年勅令第1号第15条第1項(当…
事件番号: 昭和26(あ)4315 / 裁判年月日: 昭和27年1月17日 / 結論: 棄却
原判決の是認した第一審判決の確定した判示第一、第二の被告人の所為は、いずれも、酪農業に対する政府及び地方公共団体の施策、活動の企画、決定を推進、支持するものであつて、所論に引用の当裁判所の判例にいわゆる政治上の活動に該当し、所論のような純然たる経済上、社会上の活動ではないと解するを相当とするから、被告人を所論勅令一号一…
事件番号: 昭和25(あ)3393 / 裁判年月日: 昭和26年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧警察法上の政治活動の禁止に関し、本人の主観的な政治活動の意思の有無にかかわらず、現実の政治に影響を与えるような行動は政治活動に該当すると判断した。 第1 事案の概要:被告人が特定の行為(具体的な行為内容は判決文からは不明)を行い、これが当時の警察法等により禁止されていた「政治活動」に該当するかが…