原判決が昭和二二年勅令第一號第一五条にいう「政治上の活動」の意義について、最高裁判所の判例に示された解釈に從つて被告人の行為を判断しているときは、たとえ判例の適用あやまつたとしても刑訴法第四〇五条第二號にいわゆる「判例と相反する判断をした」ということはできない。
刑訴法第四〇五条第二號にあたらない事例
昭和22年勅令1号15条,刑訴法405条2号
判旨
昭和22年勅令第1号15条にいう「政治上の活動」とは、公職の候補者を支持することによって現実の政治に影響を与えると認められるような行動をすることを包含する。
問題の所在(論点)
昭和22年勅令第1号15条にいう「政治上の活動」の意義。具体的には、特定の公職候補者を支持する行為が、同条の禁止する政治活動の範囲に含まれるか。
規範
昭和22年勅令第1号(公職に関する就職禁止、退官等に関する件)15条に規定される「政治上の活動」とは、特定の公職候補者を支持・援助すること等を通じて、現実の政治過程や政治的動向に対して直接または間接に影響を及ぼすと客観的に認められる一切の行動を指す。
重要事実
被告人は、当時の公職追放令(昭和22年勅令第1号)により特定の制限を受けていた立場であったが、何らかの具体的行為(判決文からは詳細不明。公職候補者の支持に関連する行動と推認される)を行った。原審はこの行為が同令15条の禁止する「政治上の活動」に該当すると判断したが、弁護人は当該解釈が判例に違反するとして上告した。
事件番号: 昭和25(あ)2878 / 裁判年月日: 昭和25年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧公職追放令(昭和22年勅令第1号)に基づく「政治上の活動」とは、現実の政治に影響を与えるものと認められるような行動を指し、税金闘争を支持する演説等はこれに該当する。 第1 事案の概要:正規陸軍将校であった被告人は、覚書該当者として指定(公職追放対象)されていた。それにもかかわらず、日本共産党地区…
あてはめ
最高裁判所の大法廷判決(昭和24年6月13日判決)の趣旨に照らせば、「政治上の活動」とは公職候補者の支持により現実の政治に影響を与える行動を含む。本件において被告人の行為がなされた環境および諸般の事情を総合的に斟酌すれば、被告人が行った所為は、まさに特定の候補者を支持し、もって現実の政治に影響を及ぼそうとする客観的性質を有するものであると認められる。
結論
被告人の行為は「政治上の活動」に該当するため、原審の判断に判例違反の違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
行政上の規制や公務員の政治的行為の制限をめぐる論点において、単なる思想の表明を超えて「現実の政治に影響を与える」という客観的な機能・効果に着目して活動の範囲を画定する際の基礎的な判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)1064 / 裁判年月日: 昭和25年6月29日 / 結論: 棄却
所論は要するに本件第一事實の被告人の所爲は、判示縣選舉管理委員會の吏員に對し書類の形式上の取扱いについて注意を喚起したに過ぎないものであるという獨自の事實主張の下に昭和二二年勅令が第一號第一五條第一項の政治活動に當らないとするものである。しかるに原判決の認定した被告人の所爲は單にかゝる吏員に對し所論注意を喚起したにすぎ…
事件番号: 昭和26(あ)2230 / 裁判年月日: 昭和26年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和22年勅令第1号15条にいう「政治上の活動」は、目的犯のように政治的目的ないし政治的意図を要件とするものではない。政府等の施策活動に関する論議であり、現実の政治に影響を与える行動であれば、主観的な目的の有無にかかわらず同条の活動に該当する。 第1 事案の概要:被告人が行った論議が、昭和22年勅…
事件番号: 昭和25(あ)2025 / 裁判年月日: 昭和25年12月28日 / 結論: 棄却
農業調整委員会は食糧確保臨時措置法により設けられたもので、都道府縣農業調整委員会は都道府縣知事が、市町村農業調整委員会は市町村長が夫々農業計画及びその実施に関し必要な事項を決定するについて、必ずその議決を経なければならない議決機関であり(同法第四条第五条参照)しかも右農業計画というのは同法第二条第二項によれば「主要食糧…
事件番号: 昭和23(れ)1862 / 裁判年月日: 昭和24年6月13日 / 結論: 棄却
一 本件被告人を覺書該當者として假指定したことが、中央公職適否審査委員會又は内閣總理大臣の錯誤にもとずいてなされたか否か、從つてそれが無効であるか否かを審判することの權限は、日本の裁判所に屬しない。 二 正當の權限を有する内閣總理大臣が、昭和二二年閣令内務省令第一號第五條第一項の解釋として、本件被告人を假指定したときの…