所論は要するに本件第一事實の被告人の所爲は、判示縣選舉管理委員會の吏員に對し書類の形式上の取扱いについて注意を喚起したに過ぎないものであるという獨自の事實主張の下に昭和二二年勅令が第一號第一五條第一項の政治活動に當らないとするものである。しかるに原判決の認定した被告人の所爲は單にかゝる吏員に對し所論注意を喚起したにすぎないものとしたのではなく、岐阜縣a町選舉管理委員會に對し指揮監督權を有する岐阜縣選舉管理委員會に對し、a町選舉管理委員會の判示措置につき同縣選舉管理委員會の指導を要請してその行政に介入したものとしたものであること判文上明らかである。されば原判決がこの被告人の所爲を所論政治活動に當るものとしたのは正當である。
昭和二二年勅令第一號第一五條第一項にいわゆる「政治上の活動」に該る事例
昭和22年勅令1號15條1項
判旨
行政庁に対し下級機関への指導や行政運営への介入を要請する行為は、単なる形式的な事務手続きの指摘にとどまらず、昭和22年勅令第1号に規定される「政治活動」に該当する。
問題の所在(論点)
行政機関(選挙管理委員会)に対して特定の行政措置に関する指導を求める行為が、昭和22年勅令第1号第15条第1項にいう「政治活動」に該当するか。
規範
特定の行政上の措置に関し、監督権限を有する上位の行政機関等に対して、下級機関への指導や是正を要請し、行政運営の実態に影響を及ぼそうとする介入行為は、当該規定(昭和22年勅令第1号第15条第1項)が制限する「政治活動」に該当する。
重要事実
被告人は、岐阜県a町選挙管理委員会の措置について、同委員会に対し指揮監督権を有する岐阜県選挙管理委員会に対し、判示事項に関する同県選管の指導を要請した。被告人側は、これが書類の形式上の取り扱いについて注意を喚起したに過ぎないと主張して争った。
事件番号: 昭和25(あ)84 / 裁判年月日: 昭和25年2月21日 / 結論: 棄却
原判決が昭和二二年勅令第一號第一五条にいう「政治上の活動」の意義について、最高裁判所の判例に示された解釈に從つて被告人の行為を判断しているときは、たとえ判例の適用あやまつたとしても刑訴法第四〇五条第二號にいわゆる「判例と相反する判断をした」ということはできない。
あてはめ
被告人の行為は、単なる書類上の不備を指摘するような形式的な注意喚起にとどまるものではない。指揮監督権を有する県選挙管理委員会という上位機関に対し、町選挙管理委員会の具体的な措置について介入し、行政の動きを左右させるべく指導を要請したものである。このような行政への直接的な働きかけは、政治的目的を持って行政運営に影響を及ぼす性質を有する。したがって、実質的な行政介入として政治活動性を帯びると評価される。
結論
被告人の行為は、同勅令が制限する政治活動に該当すると解するのが相当である。
実務上の射程
公職追放令に関連する古い判例ではあるが、現代の公務員法等における「政治的行為」の範囲を検討する際、単なる苦情申し立てや事務的問い合わせを超えた「行政介入」を伴う行為の政治性を判断する一指標となり得る。
事件番号: 昭和26(あ)2230 / 裁判年月日: 昭和26年7月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】昭和22年勅令第1号15条にいう「政治上の活動」は、目的犯のように政治的目的ないし政治的意図を要件とするものではない。政府等の施策活動に関する論議であり、現実の政治に影響を与える行動であれば、主観的な目的の有無にかかわらず同条の活動に該当する。 第1 事案の概要:被告人が行った論議が、昭和22年勅…
事件番号: 昭和25(あ)2025 / 裁判年月日: 昭和25年12月28日 / 結論: 棄却
農業調整委員会は食糧確保臨時措置法により設けられたもので、都道府縣農業調整委員会は都道府縣知事が、市町村農業調整委員会は市町村長が夫々農業計画及びその実施に関し必要な事項を決定するについて、必ずその議決を経なければならない議決機関であり(同法第四条第五条参照)しかも右農業計画というのは同法第二条第二項によれば「主要食糧…
事件番号: 昭和25(あ)2878 / 裁判年月日: 昭和25年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧公職追放令(昭和22年勅令第1号)に基づく「政治上の活動」とは、現実の政治に影響を与えるものと認められるような行動を指し、税金闘争を支持する演説等はこれに該当する。 第1 事案の概要:正規陸軍将校であった被告人は、覚書該当者として指定(公職追放対象)されていた。それにもかかわらず、日本共産党地区…
事件番号: 昭和23(れ)1862 / 裁判年月日: 昭和24年6月13日 / 結論: 棄却
一 本件被告人を覺書該當者として假指定したことが、中央公職適否審査委員會又は内閣總理大臣の錯誤にもとずいてなされたか否か、從つてそれが無効であるか否かを審判することの權限は、日本の裁判所に屬しない。 二 正當の權限を有する内閣總理大臣が、昭和二二年閣令内務省令第一號第五條第一項の解釋として、本件被告人を假指定したときの…